研究課題/領域番号 |
17K09249
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
井野 恭子 椙山女学園大学, 看護学部, 准教授 (30399240)
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研究分担者 |
鈴木 浩美 西武文理大学, 看護学部, 講師 (00554700)
佐藤 晶子 椙山女学園大学, 看護学部, 助教 (20593510) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外国人介護労働者 / 支援体制の構築 / 母国語の資料 / 成功事例の共有 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナ禍のもとであったが、これまでの外国人看護師への研究成果を踏まえて、本課題の主題である外国人介護労働者の現状調査を行った。対象者は、関東圏の3都県、東海圏の3県の計6都県にある収容人員100名以上の介護老人福祉施設702施設の管理者に対し調査研究を実施した。調査項目は、所在地や収容人員、職員数などの基本属性、外国人労働者の種別や人数とともに、今後の受入れ計画などであった。 その結果、回収数117(回収率16.7%)、有効回答率99.1%であった。外国人介護労働者を受入れたことのある施設数は有効回答数の50.4%であり、技能実習生制度による受入れが28施設、EPA介護士制度によるものが17施設、在留資格「介護」によるものが14施設、特定技能1号によるものが6施設であった。さらに、最も多く受入れている施設では5施設が11人を受入れ、最頻値は13施設が1人、12施設が4人の受入れをしていた。外国人介護労働者の母国は、EPA制度によるフィリピンやインドネシアの他、追加となったベトナムからの受入れが多く、さらにミャンマーやネパール、中国などからも受け入れていた。相談支援体制には、職場内での相談担当者が最も多く、国際厚生事業団(JICWELS)への相談、監理会社による支援や、地元のボランティアの支援協力を得ている施設もあった。 これまでに受入れ経験のある施設は今後も継続する意向が多く、全体で55施設(48.2%)を占めていた。それらの施設管理者たちは受入れに対する支援として、外国人介護労働者の受入れ成功事例や、日本で定着して働いている外国人介護労働者からの直接的な関わりの機会を求めていることが明らかとなった。また外国人看護師を導入する際と同様に、母国語での行政手続等の説明書や、母国の文化を周知する資料の配布を求める意見が出されていた。これらの要望への支援が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象にしている介護老人福祉施設等は、コロナ感染拡大により、入所高齢者への感染拡大からクラスターの発生が生じたり、感染予防対策に向けての取り組みが必要となっていた。このコロナ禍への対応は、未曽有のものであり、多くの職員にとっても、身体的心理的負担も予測されるものであった。そのため、感染者数が低減するタイミングを確認して、研究協力の依頼を行おうと考えたため、取り組みが遅くなってしまい、やや遅れた状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今回の調査研究により、多くの介護老人保健施設の管理者が必要とする支援内容が明確となった。今後は、外国人介護労働者の受入れ成功事例や、日本で定着して働いている外国人介護労働者から定着へのヒントを聞く機会など、これまでの研究過程の中でかかわらせていただいた方々の協力を得て、介護老人福祉施設の方々へ還元する方略を検討する。具体的には、今後もコロナ感染拡大は継続すると予測されるため、遠隔での支援の実際を計画し、実現させる予定である。 さらに、研究の最終年度となるため、研究の成果をまとめ、論文投稿する予定である。また、協力いただいた研究協力施設の方々へ、成果の概要を提示する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大の影響を受け、調査研究の実施時期が遅くなってしまった。その結果、次年度へ研究を継続する状況となった。 次年度は研究の最終年度であり、研究成果を介護老人福祉施設の管理者へ提示する。そのために、研究費は印刷費や通信費として活用する予定である。 特に、外国人介護労働者の受入れに対しては、失敗事例や困難事例に関する情報は多くあるが、成功事例の紹介や、実際に日本で定着して働く外国人介護労働者からの話を多くの管理者が求めている。そのことを受けて、そのような内容の報告会を開催する予定である。次年度もコロナ感染の拡大は継続することが予測されるため、遠隔で移動をする必要がない方法などを検討して実施したい。
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