小児入院患者の周術期医原性有害事象に対する要因分析

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 17K09252
• 研究機関: 兵庫医科大学
• 研究代表者: 太田 好紀 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10516404)
• 研究分担者: 森本 剛 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30378640) ; 作間 未織 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60349587)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 医療の質 / 臨床疫学研究 / 手術関連有害事象 / 医原性有害事象

研究実績の概要

手術に関連した医原性有害事象は、死亡や重症度の高い健康被害に至ることが少なくないにも関わらず、小児外科領域に関する周術期の医原性有害事象並びにエラーについての質の高い臨床疫学研究は、世界的に見渡しても実施されていないのが現状である。本研究は、我が国の小児における周術期の医原性有害事象並びにエラーの現状を明らかにすることを目的とする。特にエラー対策に必要なエビデンスを構築し、効果的な対策を提示することは喫緊の課題である。
平成29年度は研究実施計画通りに、手術を受けた小児を対象に多施設ヒストリカルコホート研究を実施し、レビューを行うと共にデータベースの作成を行った。
一次レビューで作成するデータは、確立された方法論に基づいて作成されたトレーニングマニュアルを用いて、レビューワーによって患者背景並びに医原性有害事象やエラーの潜在的事象を全て抽出したデータであり、一次レビューは終了している。
さらに二次レビューとして、一次レビューのデータ全てについて、独立した医師がレビューを行い、周術期医原性有害事象とエラーを同定する。さらに医原性有害事象をⅰ）原因別（薬剤、手術、手術以外の手技・検査、看護、その他）、ⅱ）重症度（死亡、致死的、治療介入を要する程度、それ以外の軽度なもの）、ⅲ）予防可能性、ⅳ）緩和可能性、ⅴ）エラーの発生段階、ⅵ）責任職種について詳細に評価し、分類を行っている。二次レビューと併せて専任の研究補助員によりデータ入力を行い、データベースを作成している。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画通りにレビューを行っており、データベースも順調に作成できている。

今後の研究の推進方策

平成30年度は引き続きレビュー作業を行い、データベースを完成させる予定である。
医原性有害事象は薬剤性有害事象と比較して、原因が薬剤性、手術、手術以外の手技、看護、その他と複数に渡り、分類困難な症例が見受けられる。世界的に有用なエビデンスとするために、医療安全研究を行っている識者と建設的な議論を続けていく。

次年度使用額が生じた理由

予定していた国際学会への参加を見送ったため、その旅費について未使用が生じている。また、データ入力については順調に進んでいるが、研究補助員のデータ入力期間が短いため、人件費においても未使用額が生じている。
平成30年度及び平成31年度にデータ入力においての人件費、謝金及びデータベース作成に使用する予定である。また、国際学会に参加し、情報収集を行う予定である。

研究成果

• [雑誌論文] Effect of norepinephrine dosage on mortality in patients with septic shock. (2018)
  • 著者名/発表者名: Yamamura H, Kawazoe Y, Miyamoto K, Yamamoto T, Ohta Y, Morimoto T.
  • 雑誌名: Journal of Intensive Care 巻: 6 ページ: 12～12
  • DOI: 10.1186/s40560-018-0280-1
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Effect of dexmedetomidine on mortality and ventilator-free days in patients requiring mechanical ventilation with sepsis: A randomized clinical trial. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kawazoe Yu, Miyamoto Kyohei, Morimoto Takeshi, Yamamoto Tomonori, Fuke Akihiro, Hashimoto Atsunori, Koami Hiroyuki, Beppu Satoru, Katayama Yoichi, Itoh Makoto, Ohta Yoshinori, Yamamura Hitoshi, for the Dexmedetomidine for Sepsis in Intensive Care Unit Randomized Evaluation (DESIRE) Trial Investigators.
  • 雑誌名: JAMA 巻: 317 ページ: 1321～1328
  • DOI: 10.1001/jama.2017.2088
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Effect of dexmedetomidine on lactate clearance in patients with septic shock: A sub-analysis of a multicenter randomized controlled trial. (2017)
  • 著者名/発表者名: Miyamoto Kyohei, Nakashima Tsuyoshi, Shima Nozomu, Kato Seiya, Ueda Kentaro, Kawazoe Yu, Ohta Yoshinori, Morimoto Takeshi, Yamamura Hitoshi.
  • 雑誌名: SHOCK 巻: - ページ: -
  • DOI: 10.1097/SHK.0000000000001055
  • 査読あり
• [雑誌論文] Differences in adverse drug events among pediatric patients with and without cancer: Sub-analysis of a retrospective cohort study. (2017)
  • 著者名/発表者名: Koizumi Akira, Ohta Yoshinori, Sakuma Mio, Okamoto Rika, Matsumoto Chisa, Bates David W, Morimoto Takeshi.
  • 雑誌名: Drugs - Real World Outcomes 巻: 4 ページ: 167～173
  • DOI: 10.1007/s40801-017-0115-8
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] Effect of PMX-DHP longer than 2 hours on mortality in patients with septic shock: A sub-analysis of multicenter randomized controlled trial. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kawazoe Y, Sato T, Miyagawa N, Yokokawa Y, Kushimoto S, Miyamoto K, Ohta Y, Morimoto T, Yamamura H, DESIRE Trial Group.
  • 学会等名: European Society of Intensive Care Medicine 2017
  • 国際学会
• [学会発表] Improved inflammation with dexmedetomidine in patients with sepsis required mechanical ventilation: A sub-analysis of the DESIRE Trial. (2017)
  • 著者名/発表者名: Ohta Y, Kawazoe Y, Miyamoto K, Yamamura H, Morimoto T, DESIRE Trial Investigators.
  • 学会等名: European Society of Intensive Care Medicine 2017
  • 国際学会
• [学会発表] Does dexmedetomidine increase lactate clearance in patients with septic shock? A sub-analysis of multicenter randomized controlled trial. (2017)
  • 著者名/発表者名: Nakashima T, Miyamoto K, Shima N, Katou S, Kawazoe Y, Ohta Y, Morimoto T, Yamamura H.
  • 学会等名: European Society of Intensive Care Medicine 2017
  • 国際学会
• [学会発表] 日本からRCTを発信するにはどうすればよいか～DESIREトライアルの経験から～． (2017)
  • 著者名/発表者名: 太田好紀，山村仁，川副友，宮本恭兵，山本朋納，福家顕宏，平井康富，小網博之，別府賢，片山洋一，伊藤誠，森本剛.
  • 学会等名: 第45回日本救急医学会総会・学術集会
• [学会発表] 敗血症ショックにおけるノルアドレナリン投与量と予後の関係～DESIREサブ解析から～． (2017)
  • 著者名/発表者名: 山村仁，川副友，宮本恭兵，山本朋納，太田好紀，森本剛．
  • 学会等名: 第45回日本救急医学会総会・学術集会
• [学会発表] デクスメデトミジンは敗血症患者の炎症反応を改善させるか～DESIREサブ解析から～． (2017)
  • 著者名/発表者名: 太田好紀，川副友，宮本恭兵，山村仁，森本剛．
  • 学会等名: 第45回日本救急医学会総会・学術集会
• [学会発表] 敗血症性AKIにおける腎代替療法の効果を再考する～DESIREサブ解析から～． (2017)
  • 著者名/発表者名: 小網博之，阪本雄一郎，櫻井良太，太田美穂，今長谷尚史，八幡真由子，梅香満，三池徹，永嶋太，岩村高志，山田クリス孝介，井上聡，山村仁，川副友，宮本恭兵，太田好紀，森本剛．
  • 学会等名: 第45回日本救急医学会総会・学術集会
• [学会発表] 敗血症性ショックに対する長時間PMX-DHPは2時間施行よりも有効か～DESIREサブ解析から～． (2017)
  • 著者名/発表者名: 川副友，佐藤哲哉，宮川乃理子，横川裕大，久志本成樹，宮本恭兵，太田好紀，森本剛，山村仁．
  • 学会等名: 第45回日本救急医学会総会・学術集会
• [学会発表] 敗血症性ショックにおいてデクスメデトミジンは乳酸クリアランスを改善するか～DESIREサブ解析から～． (2017)
  • 著者名/発表者名: 島望，宮本恭兵，中島強，加藤正哉，川副友，太田好紀，森本剛，山村仁．
  • 学会等名: 第45回日本救急医学会総会・学術集会