研究実績の概要 |
本研究は医療並びに医師に対するマクロな社会的“信頼”とパーソナルなレベルでのミクロの“信頼”について,統計解析及び社会心理・哲学的見識から信頼のメカニズムを分析し,概念構造の可視化を試み,信頼醸成のための方策を医療現場並びに医学教育に携わる医療者に還元・普及するまでを目標とした.先ずは本調査研究に不可欠な信頼の分析枠組み及び概念枠組みについて検討を進めるとともに,医療・医師への信頼を取り戻すための過去の様々な取り組みについて検証を行い,また逆に医療の信頼を損なうよう事案で社会的問題として浮上したものについて事実関係を網羅的に精査し,社会が医療に対して信頼感や不信感を抱くまでの社会的認知構造の解明を目的に取り組んだ.具体的には,医療・医師に対する信頼に関するテキストデータを集積し,信頼感や不信感を抱く要素の抽出を試みた. 文献調査結果を元に聞き取り事項を選定し,一般社会的に医療・医師に対しどのような意識を抱いているのか,社会調査として各インフォーマントへの聞き取りを計画していたが,令和2年以降現在に至るまで研究活動については在宅勤務制度を活用してのデータ整理と論文執筆等の研究活動に限られており前向きの調査は実施できなかった。結果,医療・医師に対する信頼の規定因と推察される事項の抽出までで,実社会と擦り合せた社会的認知構造概念のモデル化には至らなかった。
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