研究課題/領域番号 |
17K09259
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
浅利 優 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (40360979)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 個人識別 / ミトコンドリアDNA / メチル化 / 混合DNA / 年齢推定 |
研究実績の概要 |
日本人集団においてミトコンドリアDNAの高変異領域1(HV1)に観察される塩基置換に対して、1塩基を識別する8種類のプローブ(16209C、16217C、16243C、16278T、16290T、16304C、16362C、16362T)、2塩基を識別する2種類のプローブ(16257A/16261T、16297C/16298C)を作製し、PCRクランピング法にてHV1増幅の阻害効果を測定した。なお、各プローブは20塩基以内で人工核酸LNAを10か所まで導入した。16209C、16217C、16304C、16362C、16362T、16257A/16261T、16297C/16298Cの7部位について特異的な阻害効果が確認された。なお、これらの塩基置換の出現頻度から、混合する2つの配列のうち約70%に対して適応可能と推定された。さらに、この7部位について、塩基置換を持つ配列と持たない配列を一定の割合(9:1、4:1、1:1、1:4、1:9)で混合したものを試料として1種類のプローブを加えてPCR増幅を行い、ダイレクトシークエンス解析を行った。その結果、7部位の塩基置換をもつ配列が検出されず、塩基置換をもたない配列を決定できた。さらに、3種類の配列を混合したものを試料として、2種類のプローブを加えて阻害効果を検討したところ、1種類の配列が決定可能であった。 以上より、日本人集団において高頻度で観察される塩基置換を標的とした7種類のプローブを用いることで、効率よく2名の混合試料に含まれる個々の配列が決定可能であった。また、混合試料が3名以上であっても、選択した7部位を含む場合には個々の配列や人数の推定に利用できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本人集団において高頻度で観察される塩基置換を対象として、混合試料の分離解析に有効なプローブを作製できたことから、当初の目標はおおむね達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
同一の配列同士や共通する塩基置換を持つ配列では、混合する個々の配列を決定できないため、PCRクランピング法で区別不可能な配列に対してメチル化を含めた情報を組み合わせることで含まれる配列や人数の推定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の目標が予算額より少ない金額で遂行できたためであり、次年度に予定している計画において、より広範囲のミトコンドリアDNA領域の解析に利用する。
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