1%以上の比較的高いメチル化が確認された塩基番号1322を対象として、日本人50名(年齢20-86歳、平均43.6歳)のメチル化率を測定した。この部位を含む領域を増幅した後、一塩基伸長反応を用いてメチル化率を2回測定し、その平均値を計算した。その結果、相関係数が低く年齢に依存した傾向を見出すことはできなかった。また、混合試料の解析精度を高めるために、日本人集団に高頻度で観察されるミトコンドリアDNAの多型を標的とする場合に加えて、標準配列に特異的に結合するプローブを用いて、増幅阻害の特異性を検討した。高変異領域1および2のプローブの配列は、塩基番号16175-16192、同16238-16254、同16283-16299、同16316-16333および同140-157の5種類とした。プローブと完全に一致する配列、または一部の塩基が異なる配列を鋳型として、5種類のプローブのいずれかを添加して増幅を行った。また、プローブを添加しないものをコントロールとした。塩基番号16175-16192を用いた場合、プローブ配列内に16189Cのみ多型をもつ鋳型では期待された阻害効果が認められず、1塩基の識別が困難であった。それに対して、残りの4種類のプローブでは1塩基の違いを明確に識別することが可能であった。このことから、選択したプローブを用いた増幅は、日本人集団の高頻度で出現するハプロタイプを効率よく阻害可能な方法であると考えられた。
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