| 研究課題/領域番号 |
17K09270
|
|---|
| 研究機関 | 京都府立医科大学 |
|---|
研究代表者 |
池谷 博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30292874)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| キーワード | 年齢 / バイオマーカー / 骨密度 / ラマン / ゲノムプロファイリング / エピゲノム |
|---|
| 研究実績の概要 |
平成30年度は，引き続き法医解剖体のサンプルを利用して，ゲノムプロファイリング法によるバイサルファイト処理したDNAのメチル化解析を行った．結果は良好であり，非常に高い相関を認めた．本年度はさらに検体を増やして行い，結果を解析して公表する予定である．皮膚画像解析を用いた年齢推定については，年齢のほかに死後経過時間や部位別情報，年齢などを含めて多変量解析を行った．非露光部の肌理と肌荒れ，露光部の赤みに関して年齢との良好な結果が得られ，死後経過時間や性別などに相関しないことから法医学実務上利用できると判断した．これを日本法科学技術学会で報告し，さらに国際誌に論文を公表した．また，現在同結果を用いた携帯画像アプリを開発しており，本年度に完成し，実際の検視現場でアプリを用いて年齢推定を行い，評価を行う予定である．
バイオマーカーに関しては，テストステロンや，ＰＳＡと年齢の関係に有意差を認めており，現在結果をまとめているところであり，本年度論文発表の予定である．また，肝臓のスペルミンオキシダーゼとポリアミンにも年齢との相関が疑われており，本年度は多数の検体を用いて評価する予定である．
臓器の計測値に関しては，陰茎の計測値と精巣重量に関して年齢との有意差を認めており，現在論文投稿中である．また，歯牙の喪失歯数などの所見が年齢との有意な相関を認めており，今年度中にまとめて論文を投稿する予定である．
骨密度と年齢に関しては，論文として，現在投稿中である．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオマーカー及び骨密度，皮膚画像解析，ラマン分光法による皮膚解析において良好な結果が出ており，皮膚画像解析に関して，論文を国際誌に発表した．また，現在，臓器の計測値と年齢に関して，および歯牙の喪失歯数と年齢に関して国際誌に論文を投稿中である．
|
| 今後の研究の推進方策 |
本年度は，皮膚画像解析による年齢推定アプリの完成，ゲノムプロファイリング法を用いたエピゲノム解析による年齢推定に関する症例数を増加し，結果を解析した論文を投稿する．また，ラマン分光法による皮膚年齢解析に関する論文投稿を行う．これらを中心とし，さらにバイオマーカーであるテストステロンやＰＳＡと年齢に関する論文の公表，肝臓のスペルミンオキシダーゼやポリアミンと年齢との相関の検討．臓器計測値（骨密度，陰茎計測値や精巣重量，歯牙の喪失歯数など）と年齢との相関に関する論文の公表を目指す．
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に動物実験ができなかった分の費用を本年度に繰り越したため，繰越金が生じた．また，昨年度の解剖数が少なく，採取できたサンプル数が予定したサンプル数よりも少なかったため，本年度解析するサンプル数が少なく，残余金額が生じた．しかし，本年度は解剖数が非常に多かったため，次年度解析するサンプル数は予定よりも大幅に超過することから，消耗品の購入費も増加する予定であり，研究計画が順調進行すれば研究期間内に予算をすべて使用する見込みである．
|
