研究実績の概要 |
[目的・方法] マウス低体温症モデルのDNAマイクロアレイ解析で抽出された低体温症マーカー候補について、ヒト剖検例組織での発現動態を検索し実務応用の可能性を検討する。これまでに基礎的検討としてマウス低体温症モデルを用いて、心筋、肺、肝臓、副腎、腎臓の DNAマイクロアレイ解析を行い、各臓器4万遺伝子、計20万遺伝子の発現動態を得て低体温症マーカー候補を抽出している。これらマーカー候補の法医実務応用を目指す。平成31年度は低体温症と診断された剖検例を用い窒息例をコントロールとして、ヒト組織における低体温症マーカー候補の発現動態を免疫組織化学的に検討した。 [結果] 検討臓器はマウスで変動が大きかった副腎と肺とした。副腎の検討因子は発現上昇が予想されるFBJ osteosarcoma oncogene、C2 calcium-dependent domain containing 4B、Regulator of G-protein signaling 1、発現減少が予想されるStearoyl-coenzyme A desaturase 3、Nuclear receptor subfamily 4, group A, member 2、D site albumin promoter binding proteinとした。肺の検討因子は発現上昇が予想されるcathelicidin antimicrobial peptide、neutrophilic granule protein、myeloperoxidase、発現減少が予想されるBAI1 associated protein 2-like 1、mucosal pentraxin 1、zinc finger protein 663とした。組織の薄切を作成し、HE染色、免疫染色を施行しており、この作業を継続中である。
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