研究課題/領域番号 |
17K09277
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
佐藤 文子 北里大学, 医学部, 教授 (70328128)
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研究分担者 |
入江 渉 北里大学, 医学部, 助教 (80597352)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 入浴中の急死 / 溺水 / 剖検 |
研究実績の概要 |
心臓の加齢性の変化と入浴中の急死との関係性について明らかにするために、北里大学医学部法医学にて扱われた入浴中の急死例について調査を行った。 北里大学医学部法医学で平成19年1月から平成28年12月の10年間で、400例の入浴中の浴槽内死亡例の検案及び法医解剖例が行われていた。検案例328例(82%)、解剖例72例(18%)[司法解剖8例、権限解剖3例、承諾解剖61例]であった。男性210例、女性190例、男女比は1:0.9であった。平均年齢は76.4±11.9歳、男性の平均年齢は男性76.2±10.7歳、女性76.8±13.2歳であった。入浴中の急死例の中で剖検を施行した事例の死因は、溺水の吸引:51例(70.8%)、虚血性心不全:9例(12.5%)、脳出血:2例(2.8%)、心臓弁膜症:1例(1.4%)、肺膿瘍:1例(1.4%)、くも膜下出血:1例(1.4%)、不詳(死後変化進行につき):7例(9.7%)であった。溺水の吸引と診断された中で、血中アルコール1.0mg/ml以上検出された事例は、11例(15.3%)であった。 死後経過時間が比較的短い事例(死後3日以内)の心臓の組織(左右肺静脈,洞房結節、房室結節、左室前壁中隔、左室後壁)について病理組織ブロックを作成した。 コントロール症例については、心臓疾患のない事例合計36例について、心臓の組織(部位は入浴中の急死例と同様)について病理組織ブロックを作成した。36例の年齢構成は、20歳代:2例、30歳代:3例、40歳代:5例、50歳代:6例、60歳代:6例、70歳代:7例、80歳以上:7例)である。 現在まで、入浴中の急死例12例、コントロール例12例の肺静脈について、HE、Azan-Mallory 染色、免疫染色(抗S-100抗体、抗Tyrosine hydroxylase 抗体)を施行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の北里大学医学部法医学において施行された入浴中の急死例を抽出した。年齢、性別、既往歴などの臨床情報を調査した。および入浴中の急死の組織ブロックを作成した。コントロール症例について、入浴中の急死ではなく、心臓疾患でない症例の心臓について刺激伝導系、肺静脈について切り出しを行い、ブロックを作成した。一部の症例の肺静脈について、S-100,THの免疫染色を施行した。
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今後の研究の推進方策 |
北里大学医学部法医学で施行された入浴中の急死例で、死後経過時間の比較的短い事例36例の左室前壁中隔及び左室後壁についてパラフィンブロックを作成しており、各症例についてHE及びマッソントリクローム染色を行う。入浴中の急死例の中で、心臓に疾患のない事例12例、コントロール事例(心臓に疾患のない解剖例)36例について、肺静脈、刺激伝導系(洞房結節、房室結節)についてブロックを作成、HE染色、Azan-Mallory 染色、免疫染色(抗S-100抗体、抗Throsine hydroxylase 抗体)を施行している。これらの標本について以下の評価を行う。 1)入浴中の急死例およびコントロール例のHE標本、EVG標本、Azan-Mallory 染色標本を鏡検し、刺激伝導系への線維化、脂肪滴の沈着、石灰化について評価し、0から3までの4段階で評価を行う。 2)左心房から4本の肺静脈を含む標本については、HE,EVG,Azan-Mallory 染色標本、抗TH抗体、抗S-100抗体による免疫染色標本を鏡検する。 3)TH抗体はアドレナリン作用性に神経線維に陽性を示すことから、TH陽性/S-100陽性は交感神経、TH-陰性/S-100陽性は副交感神経と判断し、4本の肺静脈領域(左上、左下、右上、右下肺静脈)、肺静脈―左心房接合部領域での、TH陽性/S-100陽性およびTH-性/S-100陽性の神経節小結節の数を計測し、半定量化する。今後、研究成果を日本法医学会関東地方会に発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度交付金と併せて免疫染色施行のための試薬購入等に使用する予定である。
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