研究課題/領域番号 |
17K09279
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
植草 協子 日本医科大学, 医学部, マネジメントサポート・スタッフ (50409215)
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研究分担者 |
石野 孔祐 日本医科大学, 医学部, 講師 (60584878)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ホルマリン保存 / 代謝物解析 / 代謝物予測 / QTOF-LC/MS / GC/MS / S酸化物 / 法医中毒学 |
研究実績の概要 |
複数の保存期間における保存肝のホモジネート、その保存液ならびに薬物標準品を添加したホルマリン保存液について、液液抽出したものとQuEChERS法抽出後にCaptivaNDLipidsを通過させたものを分析試料としてQTOF-LC/MS測定した。 Personal Compound Database Library上に標準品添加の肝ホモジネートのQTOF分析により検出された薬物および推定される代謝物の精密質量、検出された化合物の保持時間のデータベースとプロダクトイオンスペクトルライブラリを作成し、各ホルマリン保存試料中のこれら化合物の有無を検索した。 MassHunter上で液液抽出の保存液で13か月までクエチアピン(QTP)、クロルプロマジン(CLP)、クロルプロマジンS酸化物とレボメプロマジンS酸化物が検出された。QuEChERS法抽出の肝と保存液ではスルピリドとQTPが検出され、精密質量よりQTP酸素付加体と考えられるピークが2本確認された。CLPとレボメプロマジン(LVP)について、それぞれの酸素付加体と組成式が同一で保持時間(RT)の異なるピークが2本検出され、RTの速いピークがS酸化物の標準品とRTが一致したため他方は水酸化物と考えられた。QTP酸素付加体についてはS酸化物あるいは水酸化物のいずれかであると考えられた。室温で5年保存した標準薬物のホルマリン液中からもQTP、LVPとそのS酸化物が検出された。またQTOFデータの一部をACD/MetaSenseで解析した。予測されたQTP芳香環の水酸化物や酸化物が代謝物の候補として挙げられ代謝マップが自動描出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホルマリン保存肝および保存液中の薬物について、液液抽出ならびにQuEChERS法抽出を実施したものを分析試料としてQTOF-LC/MS測定した。これまでGC-MS分析でホルマリン保存試料から検出されなかった薬物を検出できた。さらにこれらのデータをの一部をACD/MetaSenseを用いて代謝物解析することにより代謝物の候補を挙げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
QTOF-LC/MSデータとGC-MSデータについて引き続きソフトウェアACD/MetaSenseを用いた解析を行う。これまでの解析で代謝物の候補として挙げられた物質のうち購入により標準品が入手可能なものについて同様に肝存在下にて保存実験を行い解析する。既存及び新規獲得した蓄積データの解析には当初の予定より多くの時間が必要であるため新たな肝保存実験を実施せず既存の保存肝を用いた処理に切替する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
代謝物解析ソフトウェアMetaSemseを今年度に導入したため。本ソフトウェアでQTOFデータ等を解析することにより解明されうる代謝物の標準品を購入しなかったため。これらの標準品は次年度(2019年度)中に購入予定である。
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