研究課題
ホルマリン臓器における薬物および代謝物検索のためにQ-TOF-LC/MS分析を実施し、Personal Compound Database Libraryを用いてデータベースライブラリの構築を継続した。新規代謝物を含む標準品について、前年度までに作成したデータベースライブラリに推定で登録している情報について、確認および検証を行った。新規代謝物の選択に際し、前年度までに得た代謝物解析ソフトACD/MetaSenseによる解析結果を活用し予測される候補の中から選択した。新規代謝物を含む標準品を添加した保存肝ホモジネートおよび保存液について、QuEChERS法抽出後Captiva ND Lipids処理したものをQ-TOF-LC/MS分析した。分析で得られたモノアイソトピック質量、保持時間、プロダクトイオンスペクトルを登録し、データベースライブラリを再構築した。保存肝ホモジネートと保存液におけるこれらの化合物の回収率およびマトリクス効果について算出した。再構築データベースライブラリにて、前年度までのデータベース作成時に用いたQ-TOF測定データから薬物および代謝物を検索した。測定に使用した装置が前回と異なる機種のため、プロダクトイオンスペクトルが若干異なったが、ライブラリ検索スコアは概ね良好であった。新規代謝物についてはプロダクトイオンスペクトルによりクエチアピン代謝物3種は同定可能であった。クロルプロマジン代謝物2種についてはプロダクトイオンスペクトルがほぼ同一であった。回収率は親化合物より代謝物で高値を示した。マトリクス効果は保存液中の親化合物で低く、ホルマリンによるイオン阻害が示唆された。
3: やや遅れている
抽出方法をQuEChERS法抽出のみにしたため。使用装置が前年度までと異なるためプロダクトイオンスペクトルや保持時間において若干の差異が認められ、データベースライブラリの更新ではなく再構築となったため。
本年度成果について国内での学会発表を予定している。当初の研究計画で最終年度に予定している国際学会が開催されないため、研究期間を延長し発表する可能性がある。代謝物の抽出について回収率の点ではQuEChERS法が適していると考えているが、液液抽出でのマトリクス効果について確認しておくのが望ましいと考える。解析ソフトウェアの活用により予測される代謝物の候補を探索し、入手可能な代謝物標準品のQ-TOFデータを更新する予定である。
代謝物の候補として予測された化合物で入手できるものが限られたため。解析を継続し候補となる代謝物の標準品を購入する予定である。次年度は最終年度であり、複数の学会発表を予定している。このため参加費、旅費等として使用する予定である。論文発表の場合は、英文校正、投稿費として使用する予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Chemical Research in Toxicology
巻: 32 ページ: 1515~1527
10.1021/acs.chemrestox.9b00017