研究課題/領域番号 |
17K09284
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
渡邊 賢 科学警察研究所, 法科学第一部, 主任研究官 (20532047)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 物体検査 / 人体液斑の同定 / DNAメチル化 / DNA多型 |
研究実績の概要 |
昨年度同定した、一塩基多型部位(SNP)と精液特異的メチル化(または脱メチル化)CpG部位が近接する5領域のうち3領域を用いて、混合体液試料からの精液特異的SNPタイピング法の確立を試みた。始めに、メチル化特異的PCRにより、それぞれの領域について、SNP部位を含め精液特異的に増幅する条件を確立した。さらに、これらのPCR産物中のSNP部位について、パイロシーケンスにより型判定する条件を確立した。この方法を用いて、精液DNA及び血液DNAの混合液、並びに精液・唾液混合斑痕から抽出したDNAから検査を行ったところ、いずれも精液由来のSNPの検出が可能であることを確認した(Forensic Science International:Genetics,37:227-234,2018)。 また、昨年度に行ったHuman Methylation EPIC BeadChipの解析結果を元に、血液特異的SNPタイピングの候補領域としてスクリーニングした、5つのCpGサイトついて、各種体液試料を用いて血液特異性の検証を行った。5つのCpGサイト及びそれぞれの周辺の複数のCpG部位のメチル化率について、次世代シーケンサー(Miseq)によるバイサルファイトシーケンスを行ったところ、近接した全てのCpGで血液特異的なメチル化が見られるわけではないものの、いずれの領域においても、血液特異的メチル化傾向を示すCpGサイトが観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の血液特異的メチル化領域の検証の過程で、当初予定していたパイロシーケンスでの検証が難航し、次世代シーケンスでのメチル化定量系に移行する際に、かなりの時間を要してしまった。そのため、唾液及び膣液マーカーの候補領域についても検証予定であったものの、本年度は実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
5つの血液特異的SNPタイピングの候補領域を用いて、混合体液試料からの血液特異的SNPタイピング法が可能か検証する。各領域におけるCpGの不均一なメチル化様態から、精液の場合と異なりメチル化特異的PCRの適用が困難と予想されることから、今回特異性の検証に用いた次世代シーケンサーによる検出系で、混合試料における解析を試みる予定である。 また、唾液及び膣液特異的SNPタイピングについても同様に、Human Methylation EPIC BeadChipの結果を元に、候補領域の選定、特異性の検証等を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた唾液及び膣液マーカー候補の解析を行わなかったため。次年度において、これらの解析費用として使用予定である。
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