研究課題/領域番号 |
17K09293
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 太郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40401111)
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研究分担者 |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00261975)
柴崎 孝二 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (20625735) [辞退]
亀山 祐美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60505882)
山田 容子 北里大学, 大学病院, 医員 (30701007)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薬物有害事象 / 高齢者 / 減薬 / ポリファーマシー |
研究実績の概要 |
研究1として、大学病院老年内科の入院患者に対する薬剤調整の影響を検討した。2017年4月~2018年3月に入院した患者のうち、認知症275名(男性41%、平均80.4歳)について横断調査を行った。認知機能はHDS-R平均で20.5±6.8歳、基本的ADLはBarthel Index平均で79±28点であった。入院時/退院時の薬剤数は平均5.5±3.4剤/5.0±3.4剤であった(p<0.001)。特に入院時薬剤数が多い高齢者および女性で薬剤数の有意な減少を認め、減薬できた薬で多いものは、便秘薬、降圧薬、さらには胃薬であった。 研究2では、大学病院老年内科の入院患者の薬剤調整とその影響を見るべく縦断研究を行った。本研究は特に心房細動を有する75歳以上の高齢患者に対し抗凝固薬処方の選択による縦断調査を行った。心房細動は175名おり、抗凝固薬ありが101名(うちワルファリン64名)、なしが74名いた。回避された主要な理由は、転倒リスクおよびCHADS2スコアの低値であった。観察期間の中央値は659日で脳卒中が14名、大出血が12名、死亡者が38名であった。Cox解析を行ったところ、抗凝固薬と大出血に関連は認めず、逆に抗凝固薬を処方した群において脳卒中の発症頻度が有意に高かった(HR 8.32, 95%CI 1.65-151)。 研究3では、老健における薬剤見直しの有用性について認知症を有した者1201名で検討した。抗認知症薬の処方頻度入所後2か月までに中等度認知症で18%から14%、高度認知症で24%から14%といずれも有意に減少した(P<0.01)(軽度は処方が少なく評価対象外とした)。反対に抗コリン作用を有する薬物の処方は、入所時は24.6%から25.7%に増加した。老健ではpotentially inappropriate medicationが増加していることが判明した。
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