研究課題
研究1.アルツハイマー型認知症患者と介護者の食習慣の傾向の性差高齢者を要介護状態にさせる原因としてサルコペニアや認知症が挙げられ、いずれも栄養との関連が報告されている。食事・栄養はサルコペニアや認知 症発症や予防のキーの一つである。認知症患者の食習慣だけでなく、食事を準備する同居家族の食習慣も調査し、問題点を明ら かにすることを目的とした。当科物忘れ外来に通院中の69組の高齢aMCI~AD患者(女性40名、男性29名)とその介護者に簡易式自己式食事歴法質問票BDHQを用い調査を行った。国民調査によると70歳以上の魚摂取量平均は女性85.9g/日、男性 94.6g/日である。本調査で魚摂取量は女性患者で52g/日(その介護者51g/日)、男性患者で102g/日(その介護者95g/日)と女性患者とその介護者の魚摂取量が 少なかった。葉酸についても女性患者とその介護者で摂取量が有意に少なかった。国民調査で菓子類摂取量平均は、70歳以上女性26.8g/日、男性24.6g/日である。女性患者は73g/日(介護者76g/日)、男性患者は84g/日(介護者60g/日)、と男女とも患者及びその介護者において菓子摂取量が多かった。本研究の結果から、長年同じ食習慣・環境で生活して、好みや嗜好が似る、また「この食生活が普通」と思い込んでいることから、偏りが患者と介護者で似たのではないか、と考えた。研究2.葉酸と認知症葉酸欠乏は認知症を引き起こす原因として知られている。当科外来患者77人の認知機能と血液中の葉酸値は、MMSE 23点以下(32名平均年齢80歳)8.4±3.1 ng/ml、 MMSE 24点以上(45名平均年齢78歳)11.0±5.1 ng/mlと認知機能が低い群で血中葉酸濃度が有意に低かった(t検定、p<0.01)。葉酸と認知機能との間に何らかの関連があると考えられた。
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