研究課題/領域番号 |
17K09296
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
河手 久香 信州大学, 医学系研究科, 研究員 (20507503)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 代謝障害 / 性差医療 |
研究実績の概要 |
アドレノメデュリン(AM)は、多彩な生理活性を有するペプチド因子である。AMとそのファミリー因子の受容体であるCLRには、RAMPという1回膜貫通型タンパクが結合することで、多彩な生理活性が生み出されると考えられている。我々はこれまでAM-RAMP系の心血管系恒常性維持作用を明らかとしてきた。一方、AMとRAMPは共に、脂肪組織をはじめとした代謝系においても高発現が認められるが、その意義の多くは不明である。我々は脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)を作成し、A-RAMP2-/-は、若年期から内臓脂肪型肥満を呈することから、AM-RAMP2系が、心血管系の制御のみならず、脂肪細胞の分化や代謝制御に直接係わることを明らかとした。本研究では、メスマウスに対して卵巣摘出した後、高脂肪食負荷を行うことで、閉経後代謝障害におけるAM-RAMP系の病態生理学的意義を検討した。 RAMP2ノックアウトマウス(RAMP2+/-)オスに対して高脂肪食負荷を行うと、野生型マウスに比較して、有意に体重の増加が認められた。一方、RAMP2+/-メスに対して卵巣摘出と高脂肪食負荷を行なった場合は、野生型マウスと比べて体重に大きな差を認めなかった。 以上の結果から、AM-RAMP2系は代謝制御において重要な役割を有することが明らかとなった。一方で、代謝障害における病態生理学的意義には、性差が存在する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RAMP2ノックアウトマウス (RAMP2+/-)を用いて肥満、メタボリックシンドロームモデルを作成し、検討を行った。本年度の研究では、AM-RAMP2系が代謝制御において重要な役割を有することが明らかとなった。一方で、代謝障害における病態生理学的意義には、性差が存在する可能性が考えられた。これらの結果を踏まえて、次年以降の研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)高脂肪食負荷時の脂質、糖代謝とエネルギー代謝の変動の性差について、各RAMPサブアイソフォーム(RAMP1、2,3)ノックアウトマウスのオス-メス間での表現型を比較検討する。 (2)各RAMPサブアイソフォームのノックアウトマウスを用いて、卵巣摘出(OVX)による閉経モデルを作成し、閉経後代謝異常の病態におよぼすAM-RAMP系の意義を検討する。 (3)エストロゲン-エストロゲン受容体システムとAM-RAMPシステムのクロストークを検討する。
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