1) 候補化合物の選定1(In vitro):伝統薬物成分をマウス大腸癌細胞を用い、癌浸潤や転移に関わるMatrix Metalloproteinase (MMP)-9活性を抑制化合物として、伝統薬物成分のスチルベン類、メトオキシフラボン類、ハイドロオキシフラバノン類やクマリン類および合成スチルベン類を見出した。 2)候補化合物の選定2(In vitro):腫瘍環境に重要な役割をしているTumor-Associated Macrophages(TAMs)のM2型マクロファージからの癌に対する免疫作用を抑制するProgrammed Cell Death 1(PD-1)の発現を抑制する化合物として、メトオキシフラボン類、スチルベン化合物レスベラトロールおよびハイドロオキシフラバノン類を見出した。 3)伝統薬物成分レスベラトロール関連化合物の大腸癌発生・増殖に及ぼす影響(In vivo): 平成30年度に報告したように、Azoxymethan(10㎎/㎏)腹腔内投与し、1.5%Dextran Sulfate Sodium (DSS)の自由摂取させた大腸癌発生・増殖に対し、合成した2,3-および4,4’-Dihydroxystilbeneが腫瘍の発現・増殖を抑制し、新たに合成3,4-Dihydroxystilbeneおよびレスベラトロール関連化合物のPiceatannolも弱いながら大腸癌の発生・増殖を抑制した。上記3種類の合成Dihydroxystilbene類およびPiceatannolは、大腸癌および周辺組織からのサイトカイン類の産生を抑制した。更に、大腸癌周辺組織中PD-1の産生量を抑制した。 4)DSS誘発大腸炎での評価:短期間で評価できるDSS誘発大腸炎モデルでの伝統薬物成分を検討し、新たにPiceatannolを見出した。
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