研究課題/領域番号 |
17K09304
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安野 広三 九州大学, 大学病院, 助教 (30747994)
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研究分担者 |
松下 智子 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40618071)
細井 昌子 九州大学, 大学病院, 講師 (80380400)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / マインドフルネス / 心理社会的要因 / 効果予測因子 / 失感情症 / 破局化 |
研究実績の概要 |
【目的】慢性疼痛患者に対するマインドフルネスに基づく認知行動療法(Acceptance & commitment therapy)の有用性が示されている。しかし、その介入の効果予測因子については現在のところ十分に明らかになっていない。今回、マインドフルネスに基づく認知行動療法を慢性疼痛患者群に実施し、介入前の心理社会的因子と介入による治療効果の関連について検討した。 【方法】対象は九州大学病院心療内科でマインドフルネスに基づく認知行動療法を実施した慢性疼痛の入院患者27名。臨床的なアウトカムを痛みの強さ、生活機能障害、抑うつ症状とし、介入前の心理社会的因子として年齢、性別、痛みの強さ、生活機能障害、抑うつ症状、痛みの破局化、痛みの受容、失感情傾向を測定した。各アウトカム変数の介入の前後の変化量を目的変数、介入前の上記の心理社会的因子を説明変数としてそれぞれ重回帰分析を行った。 【結果】痛みの強さのより大きな改善は介入前のより強い痛み、より低い失感情傾向と関連していた。生活機能障害のより大きな改善は介入前のより強い痛みの破局化、より低い失感情傾向と関連していた。抑うつ症状のより大きな改善は介入前のより高い年齢、より低い生活機能障害、より高い抑うつ症状、より低い失感情傾向と関連していた。 【結論】慢性疼痛患者群におけるマインドフルネスに基づく認知行動療法の効果は、介入前の痛みの強さ、機能障害、抑うつ、破局化、失感情傾向が予測因子となる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
認知行動療法のプロトコールの検証や介入実施者の技術面を担保するためのトレーニングなどに時間を要していたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、慢性疼痛患者に対するマインドフルネスに基づく認知行動療法のランダム化比較試験のプロトコール作成を進めているおり、当院の倫理委員会への提出を準備中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性疼痛に対するマインドフルネスに基づくランダム化比較試験の準備がやや遅れており、平成29年度は予備的な実施のみであったため、平成30年度から本格的に実施を進める予定である。そのため、平成29年度使用予定額の一部を平成30年度で使用する。
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