研究課題/領域番号 |
17K09304
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安野 広三 九州大学, 大学病院, 助教 (30747994)
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研究分担者 |
松下 智子 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (40618071)
細井 昌子 九州大学, 大学病院, 講師 (80380400)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / 破局化 / 医療への信頼感 / 医療不信 / 予測因子 |
研究実績の概要 |
【背景】慢性疼痛の治療では痛みの破局化の軽減が重要な目標となるが、その改善の予測因子は十分検討されていない。今回我々は心療内科外来治療により痛みの破局化の大きな軽減が見られた患者群の初診時の痛み関連指標および心理社会的因子の特徴を検討した。 【方法】九州大学病院心療内科外来で治療した慢性疼痛患者96名中、初診時の痛みの破局化(Pain Catastrophizing Scale:PCSを用いて測定)が平均値以上の46名を“高値群”とした。さらに”高値群”を6か月後に初診時のPCSスコアが1SD以上改善した“著明改善群”(13名)とその他の“低改善群”(33名)に分け、初診時の痛み関連(痛みの強さ、痛みによる生活障害、痛みの受容)、情動関連(不安、抑うつ、失感情傾向)、対人関連(愛着スタイル、過去の医療への信頼感)変数について両群で比較した。 【結果】“高値群”はいずれの変数でも“低値群”より望ましくない結果だった。“高値群”でも治療で破局化が有意に改善した(PCS:初診時42.7±5.7→6か月後36.2±9.7)。“著明改善群”は“低改善群”より初診時の「医療への信頼感」が有意に低かった(医療信頼感Visual Analogue Scale:38.3±18.5 vs. 57.2±25.7)。 【結語】初診時に医療不信を背景に強く痛みの破局化をきたしている患者ほど、心療内科外来治療初期の良好な治療関係構築で破局化が大きく改善する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
慢性疼痛の認知行動療法の実施を予備的に進めているが、ランダム化比較試験の倫理委員会提出の準備が予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
慢性疼痛に対する認知行動療法のランダム化比較試験のプロトコールを作成し当施設の倫理委員会へ提出を推し進め、試験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、研究に伴う検査の実施や問診入力を遂行中であり、今後もそれに掛かる経費が必要となる為、2020年度に持ち越しと致しました。分担者とも連携を取りながら研究精度を上げていく所存です。
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