研究課題/領域番号 |
17K09305
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構福岡病院(臨床研究部) |
研究代表者 |
古川 智一 独立行政法人国立病院機構福岡病院(臨床研究部), その他部局等, 科長・医長 (70617365)
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研究分担者 |
吉村 力 福岡大学, 医学部, 准教授 (20511885)
安藤 眞一 九州大学, 大学病院, 特別教員 (90575284)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日中の眠気 / 睡眠呼吸障害 / 心身医学 / 睡眠医学 |
研究実績の概要 |
本年度は、不安、抑うつを伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の臨床的特徴について検討した。 国立病院機構福岡病院で施行した睡眠ポリグラフ検査(以下PSG)によって閉塞性睡眠時無呼吸(以下OSA)と診断した患者70名(を対象とした。PSGにおける無呼吸低呼吸指数(以下AHI)が5以上であった場合、OSAと診断した。主観的な眠気の評価にはEpworth sleepiness scale(以下ESS)を用いた。不眠の評価には、日本語版不眠重症度質問票(以下ISI)を用いた。不安、抑うつの評価には、Hospital Anxiety and Depression Scaleの不安と抑うつのサブスケール(それぞれ、HAD-A、HAD-D)を用いた。HAD-A≧8あるいはHAD-D≧8の場合、それぞれ不安症状、抑うつ症状ありとした。不安症状、あるいは抑うつ症状の有無によって対象を分類し(不安群・非不安群、抑うつ群・非抑うつ群)、臨床症状、PSG変数等について比較検討した。 不安群と抑うつ群は全対象70名中それぞれ21名(30%)、22名(31.4%)であった。不安群では非不安群と比較し、鼻閉ありと休日の熟睡感の欠如の割合、HAD-A、HAD-D、ISIが有意に高値を示した。また、不安群では非不安群と比較し、PSG上、睡眠潜時の有意な延長、StageN2の割合の有意な高値を認め、StageN1の割合は低値の傾向を認めた。抑うつ群で、窒息感覚醒の割合、HAD-A、HAD-D、ISIが有意に高値を示した。また、抑うつ群と非抑うつ群との間で、有意差のあるPSG変数は認められなかったが、抑うつ群では、総睡眠時間、覚醒後中途覚醒時間、レム潜時、睡眠効率、StageRの割合が非抑うつ群より低値の傾向を認めた。OSA患者では、不安、抑うつの有無によって、その臨床的特徴に差異を認めた。 この結果は、不安、抑うつを伴う睡眠時無呼吸患者における臨床的特徴に関する重要な示唆を与えるものであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
不安、抑うつを伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の臨床的特徴に関する報告を行った。イビキの精神生理学的影響にも関連した重要な研究結果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
イビキの精神生理学的影響を検証するために、イビキを主訴に受診しPSGを施行した対象において、客観的な覚醒度、注意力を測定し、イビキと各種精神生理学的指標との関連について解析する予定である。目標数まで対象数を増やし、達成した段階でデータを解析し、学会発表(日本心身医学会)を行い、論文化していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、研究開始が遅れているため、PSGを行う際に必要な消耗品や質問紙などの必要物品が未購入であるなど、研究に関連した出費が遅れていること、また研究が順調に進んでいる場合の学会発表がなされていないことによる。
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