研究実績の概要 |
本年度は、閉塞性睡眠時無呼吸患者における不安、うつの関連因子について検討した。国立病院機構福岡病院で施行した睡眠ポリグラフ検査(以下PSG)によって閉塞性睡眠時無呼吸(以下OSA)と診断した患者225名を対象とした。PSGにおける無呼吸低呼吸指数(以下AHI)が5以上であった場合、OSAと診断した。主観的な眠気の評価にはEpworth sleepiness scale(以下ESS)を用いた。不眠の評価には、日本語版不眠重症度質問票(以下ISI)を用いた。不安、抑うつの評価には、Hospital Anxiety and Depression Scaleの不安と抑うつのサブスケール(それぞれ、HAD-A、HAD-D)を用いた。HAD-A≧8あるいはHAD-D≧8の場合、それぞれ不安症状、抑うつ症状ありとした。「不安あり」、あるいは「うつあり」を従属変数、OSAに関連した症状、ESS、PSG検査所見を独立変数としたロジスティック回帰分析を行い、OSA患者における不安、うつの関連因子を求めた。単変量解析にて、p値が0.20未満であった変数のみを多重ロジスティック回帰モデルに投入し、変数減少法を用いて有意な関連因子を求めた。 OSAにおける不安の関連因子として、低い年齢(p=0.027, オッズ比 0.969)、夜間の鼻閉感(p=0.014, オッズ比 2.855)がみられた。OSAにおけるうつの関連因子として、夜間排尿回数(p=0.007,オッズ比 1.486)、日中の眠気(p=0.019,オッズ比 1.039)がみられた。OSAにおける不安やうつは、OSAに伴う夜間の鼻閉感、夜間頻尿、日中の眠気が関与している可能性が示唆された。
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