研究課題/領域番号 |
17K09309
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
赤崎 雄一 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (00631920)
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研究分担者 |
池田 義之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00573023)
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 老化 / サルコペニア / ミトコンドリア / オートファジー |
研究実績の概要 |
加齢に伴う骨格筋筋減少症(サルコペニア)を評価するために、若年(3ヶ月齢)と中年(12ヶ月齢)、老年(24ヶ月齢)の骨格筋について検討を行った。若年に比較すると、中年と老年では筋力が低下していた。次に、若年・中年・老年マウスの骨格筋(腓腹筋)重量を検討した。加齢により筋肉量は減少傾向を認めたものの、有意な差を認めなかった。これまでの報告で、動脈硬化組織において、代謝ストレスがミトコンドリア機能障害を起こすことが報告されている。したがって、加齢による変化だけでなく、代謝ストレスを合併したモデルを観察することが、高齢モデルにおける骨格筋の変化に有用であると考え、高コレステロール血症を呈するApoEノックアウトマウスを用いた。 通常の高齢マウスモデルと比較すると、高齢ApoEノックアウトマウスにおいて、骨格筋力は低下しており、また筋肉量も減少していることを認めた。 骨格筋を免疫組織学的評価を行ったところ、骨格筋に終末糖化産物(AGEs)が沈着していた。AGEsは老化により、骨格筋への沈着が増加していたが、代謝ストレスモデルにおいては、通常の老化マウスに比較するとAGEsが、更に沈着を認めた。 ミトコンドリアは、細胞環境に応じて別のミトコンドリアと融合すること(Fusion)や分離すること(Fission)で、その形態を変化させ、この機能はミトコンドリアダイナミクスと呼ばれている。老化に伴う骨格筋のミトコンドリア形態変化については、FusionとFusionのバランス不均衡は骨格筋の加齢性機能低下に関与することが疑われている。電子顕微鏡にてマウスの骨格筋のミトコンドリア形態を評価したところ、高齢ApoEノックアウトマウスの骨格筋ではFissionが増加していることが観察された。 今後、このメカニズムについて検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)若年(12週齢)と中年(12ヶ月齢)、老年(24ヶ月齢)の骨格筋について検討を行った。若年に比較すると、中年と老年では筋力が低下していた。 2)若年・中年・老年マウスの骨格筋(腓腹筋)重量を検討した。加齢により筋肉量は減少傾向を認めたものの、有意な差を認めなかった。筋重量に変化がないものの、傾向は認めた。 3) 疾患マウスを用いたところ、上記の正常マウスに比較すると、より表現形の強い結果が得られた。このマウスにおけるミトコンドリア形態を観察することができ、今後、このメカニズムに関与する因子について解析することが必要と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
加齢に伴うストレス(高コレステロール血症)を呈する高齢マウスについて、検討していく予定である。 また細胞実験にても、同様のAGEsを骨格筋細胞(C2C12)に投与して、骨格筋分化やミトコンドリア機能について解析を行う予定である。
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