研究課題
本研究では、がん悪液質モデルを用いて、腸内フローラのがん悪液質形成における関与を明らかにし、腸内フローラをターゲットとした新規治療開発のための基盤的データを得ることを目的としている。広域抗生剤投与に伴い、C57BL/6マウスの空腸腺管に過形成が認められ、それとともに空腸粘膜のSglt1 とCdx1の発現が亢進することを確認した。さらに、これらの変化に伴い、広域抗生剤投与マウスでは空腹時血糖の上昇もみられた。広域抗生剤使用による腸内フローラのdysbiosisは、Cdx1の発現亢進とそれによる空腸腺管上皮の過形成を惹起し、さらに、空腸上皮におけるグルコース・トランスポーターであるSglt-1の発現亢進を引き起こすことで、糖吸収に大きな影響を及ぼすことが示唆された。さらに、今年度は食餌中に含まれる食物繊維が、がん悪液質に及ぼす影響についての検討を進めており、非担がんマウスにおいては、fiber-free dietが体重および骨格筋量に及ぼす影響は少ないが、担がんマウスにおいてはfiber-free dietによって体重および骨格筋量が有意に減少することを確認した。Fiber-free dietにおいては、マウス腓腹筋において筋蛋白異化に関わるantrogin1やMuRF1といったユビキチンリガーゼの発現が亢進しており、現在、食餌中のfiberが骨格筋量に及ぼす影響について、さらに詳細な機序の解析をすすめている。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
Oncology Reports
巻: 44 ページ: 371-381
DOI: 10.3892/or.2020.7595
Medical Oncology
巻: 36(7) ページ: 60
doi: 10.1007/s12032-019-1285-x.