研究課題/領域番号 |
17K09315
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山内 基雄 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30405378)
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研究分担者 |
木村 弘 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (20195374)
杉江 和馬 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60347549)
藤田 幸男 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60571023)
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (80271203)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 睡眠呼吸障害 / 多系統萎縮症 / 予後 / 突然死 |
研究実績の概要 |
多系統萎縮症(MSA)は進行性細胞変性脱落をきたす難治性疾患であり神経内科領域では稀な疾患ではなく、また時に原因不明の突然死をきたすことからMSA の突然死防止は臨床上重要な課題である。一方睡眠時無呼吸症候群(SAS)はMSA に高頻度に合併するにもかかわらず両疾患の関連と治療戦略は不明な点が多く、我々はMSAの突然死にSASの合併が関与している可能性を探究している。 対象は奈良県立医科大学附属病院神経内科診療中のMSAおよびMSA疑い症例であり、MSAの評価あるいは加療目的で入院した際に終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を施行しSASの合併有無とその症型を評価している。 前回報告時以降さらに10症例の蓄積があり、現時点で合計で24人のMSA患者(MSA疑い症例を含む)に対してPSGを行っている。MSAサブタイプの内訳は、MSA-P(パーキンソン症状優位型)7例、MSA-C(小脳症状優位型)13例、その他4例である。 昨年度までと同様、声帯開大障害に起因する高調性いびきはMSA-CとMSA-Pの両サブタイプで観察されている。一方、SASの症型においては、MSA-Pに比してMSA-Cでは、チェーン・ストークス呼吸や中枢性無呼吸を呈する頻度が多く、また覚醒中のみならず睡眠中も不規則呼吸を呈することが多いとの結果を得ている。 さらに長期経過観察期間において、SASの治療介入としてのCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)あるいはASV(Adaptive-servo Ventilator)のアドヒアランスが良好な症例では長期生存が得られる傾向を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当院神経内科と連携してMSA症例が入院した際にはPSGを施行できている。 外来通院中のMSA症例において睡眠呼吸障害の評価目的のみの入院は患者の負担(入院費用など)を鑑みて行っていないため、睡眠呼吸障害未評価の症例はないとは言えないものの、ほぼ順調に症例は蓄積できていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
MSAにSAS治療が必要と判断した症例には、CPAPやASVなどのPAP機器を治療導入している。その治療効果をPAP機器装着下PSGを行い評価しているが、長期治療効果に関してはPSGを複数回行うことは現実的に困難でありPAP機器からのメモリデータを用いて評価していることが多い。またアドヒアランスが良好な症例では、PAP機器を装着しないでPSGを行うことのリスクが高いと判断されることがしばしばあり、MSAに伴うSASの症型の変遷についての検討が全例ではできていない。また、死亡例も存在するが、剖検症例を得ることが現時点ではできていない。したがってさらなる症例の蓄積が必要と考えており、引き続き、症例数の上積みを行っていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、小額の16,384円であり、ほぼ計画通りに予算研究費を執行できたと考えている。
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