研究課題/領域番号 |
17K09316
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
大矢 昌樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90550301)
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研究分担者 |
重松 隆 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (30187348)
園生 智広 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70614866)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | サルコペニア / 骨ミネラル代謝異常 / 慢性腎臓病 / 高リン血症 |
研究実績の概要 |
性腎臓病(CKD)患者において、ステージに依存してサルコペニア合併の頻度が高く、また、CKD患者での低骨格筋量は生命予後不良と関連しているという疫学的な研究結果が報告されている。 骨格筋は、CKD-MBD研究の中心組織である骨と同様に、同化と異化のバランスで維持されており、その同化・異化シグナルは、運動刺激のみならず、食事内容によっても変化することが知られている。CKD患者においては、古くから運動制限がなされていたり、食事療法でのタンパク制限がなされていたり等、腎機能低下以外の筋萎縮促進因子も考えられている。したがって、in vivoではCKD-MBDが骨格筋に及ぼす影響を直接見ることが困難である。 今回我々は、ラット骨格筋の筋芽細胞株(L6)を用いて、腎機能低下に伴うミネラルバランスの破綻が、骨格筋萎縮にどのような影響を及ぼすのかを検討した。高リン状態が骨格筋の同化・萎縮因子に及ぼす影響を報告する。L6は多核細胞である筋管細胞へと分化した状態で実験に使用した。10日間の培養期間後、コントロールと比較して高リン条件では、骨格筋収縮タンパクで、骨格筋マーカーであるミオシン重鎖(MHC)が有意に減少しており、筋萎縮が生じていた。また、同化マーカーとして測定したphospho-p70S6Kの割合は高リンで減少しており、異化マーカーとして測定したcleaved-caspase-3の割合は高リンで増加していた。以上の結果から、高リン状態は、骨格筋の同化作用を減弱させ、分解作用を促進することで筋萎縮を引き起こすことが示唆された。
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