昨今のストレス社会ではうつ病などの精神疾患による経済的損失が甚大であることから、その克服は喫緊の課題となっている。また、うつ病治療の困難さには、うつは再発しやすいことがその背景に存在する。本研究は、これまであまり検討されてこなかったうつの予防に焦点を絞り、漢方薬がうつの予防に有用である可能性を様々なモデルを用いて明らかにした点で学術的な意義が大きい。そして、漢方薬の事前服用でうつを未然に防ぐことが可能であることが初めて示された本研究成果は、今後うつ病克服に向けた医療社会に漢方薬による治療が充分貢献できる可能性を示し、将来的には国民の心の健康維持、さらには健康寿命の延伸に繋がるものと期待したい。
|