研究課題
これまでに麻黄エキス(EHE)は、増殖因子受容体のエンドサイトーシスとリソソームでの分解を促進することを見出した(Hyuga, S., et al., Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, in press.)。エンドサイトーシスは、腸管での薬物吸収機構のひとつであるトランスサイトーシスに関与している。タンパク質などの高分子は、腸管上皮細胞にエンドサイトーシスによって取り込まれ、エキソサイトーシスによって生体内へ放出される(トランスサイトーシス)。最近、EHEの活性成分が45kDa以上の高分子縮合型タンニンであり、この成分は病態モデル動物への経口投与で薬効発現することや、EHEと同様にエンドサイトーシスを促進することを見出した(Yoshimura, M., et al., Chem. Pharm. Bull., 68 (2), 140-149, 2020)。そこで、EHEの活性成分がトランスサイトーシスを介して吸収される可能性について検討する事にした。ヒト腸上皮細胞株CACO-2細胞の単層培養を用いたトランスサイトーシスのアッセイ系を構築した。CACO-2を21日間培養し、経上皮電気抵抗(TER)を測定して、200Ω以上になっていることを確認後、トランスサイトーシスのマーカーとして用いられているhorseradish peroxidase (HRP)と12.5, 50 µg/ml EHEをCaco-2単層培養上に添加して4時間培養し、下部ウエルに移行したHRP量を酵素活性測定法で定量した。その結果、HRPの透過率はEHEの添加濃度依存的に増加し、50µg/ml EHEによって、HRPの透過率は約5倍に増加した。これらの結果から、EHEは腸管上皮細胞のトランスサイトーシスを促進していることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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