研究実績の概要 |
「オキシトシンを標的とした抑うつ状態合併関節リウマチのあらたな治療戦略の構築」をテーマに研究を開始した。生物学的製剤を新規もしくはスイッチで開始した関節リウマチ患者さんを対象に、現時点では119例がエントリーされた。目標エントリー数は100例であり、予定より若干多いエントリー数であった。 2017年度の研究では横断的研究を行い、以下の結果を得た。①血清オキシトシン濃度は罹病期間と正の相関を認めた(r=0.443, p=0.000)。また、メトトレキサートの使用量(r=0.208, p=0.030)と正の相関を認め、腫脹関節数(r=-0.283, p=0.003)、赤沈(r=-0.245, p=0.010)、CRP (r=-0.283, p=0.003)、SF-36のサマリースコアのうちmental component summary (MCS) score (r=-0.196, p=0.041) とそれぞれ負の相関を認めた。②二項ロジスティクス解析では、年齢が若いこと(p=0.0209, odd ratio: 0.96, 95%CI: 0.94-0.99)、罹病期間が長いこと(p=0.0053, odd ratio: 1.08, 95%CI: 1.02-1.13)との関連が認められた。しかし、ハミルトン抑うつ状態スコア(HAM-Dスコア)とは血清オキシトシン濃度との関連性を見いだせなかった。また、他の因子についても関連性を見いだせなかった。若年者でオキシトシンが高値になることは容易に想像できるが、罹病期間の長いこととの関連については、今後検討課題である。 2018年度は予定通り6か月間の縦断研究に移行する。6か月間の観察期間を全うできない症例が一定数予想されるため、119例のエントリー数でも問題はないと考える。むしろ、横断研究に移行した際に十分な症例数を確保するため、2018年度も新規のエントリーは継続する。
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