研究課題
鍼治療に用いられているの一種,留置型の円皮鍼は近年,臨床で頻用されているが,その効果ならびに作用機序についての基礎研究はほとんど行われていない。本研究では,種々のストレスモデル動物を用い,円皮鍼の抗ストレス作用を検証してきた。またその中で,ストレス反応の誘発に関与するオレキシンと抗ストレス作用を有するオキシトシンの変化を調べた。いずれのモデル動物に対しても円皮鍼は抗ストレス作用を示し,慢性ストレス負荷(一週間の社会的孤立ストレスモデル)によってオレキシン,オキシトシンの分泌が上昇したが,頭の頂点にあるヒト百会(GV20)穴相当部位への円皮鍼(1.2㎜)治療によってこれらの上昇が有意に抑制された。一方,急性ストレスモデル(90分間の拘束ストレスモデルや急性疼痛モデル)では,逆にオレキシン,オキシトシンの分泌が低下したが,円皮鍼治療によってこれらの低下が抑制された。また,鍼の長さによる効果の違いも検討したが,短い鍼よりも長めの方が効果的であることが示唆された。ストレスでもその条件によって生体内で生じている変化(病態)が異なったが,いずれの状況においても,鍼治療によってホメオスタシスの方向に持っていってくれる作用,東洋医学で言う中庸作用が認められた。本研究機関では,詳細な作用機序までは検討できなかった。鍼刺激が,どのような機序でオレキシン,オキシトシンの分泌を制御したのかは,引き続き検討が必要である。
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Healthcare
巻: 9 ページ: -
脳神経内科
巻: 92 ページ: 459-464