研究課題/領域番号 |
17K09327
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
平尾 健太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (40516639)
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研究分担者 |
羽生 春夫 東京医科大学, 医学部, 特任教授 (10228520)
清水 聰一郎 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10385031)
深澤 雷太 東京医科大学, 医学部, 助教 (30795646)
櫻井 博文 東京医科大学, 医学部, 教授 (60235223)
馬原 孝彦 東京医科大学, 医学部, 客員教授 (70266477)
佐藤 友彦 東京医科大学, 医学部, 助教 (70421071)
金高 秀和 東京医科大学, 医学部, 准教授 (90385021)
山下 典生 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 准教授 (90628455)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 軽度認知障害 / 大脳白質病変 / WMH / PVH / DWMH |
研究実績の概要 |
軽度認知障害における大脳白質病変の進展と認知機能障害進行との関連 大脳白質病変は軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー型認知症(AD)への移行リスクを高めることが報告されるが、MCIにおける白質病変の経時的進展の程度と認知機能障害の進行との関連についての報告はあまりない。MCIにおけるMRI(FLAIR)における白質高信号(WMH)の進展と認知機能障害の進行との関連を調査する。記憶障害を主体としたMCI38例を前方視的に毎年ごとに2年間調査した。14例が離脱されたため24例を解析した。脳室周囲白質高信号(PVH)と深部白質高信号(DWMH)の容積を画像解析ソフト3D-slicerを用い算出し、PVH/DWMH容積の変化量と各種神経心理検査スコアの変化量との相関をSPSSを用い解析した。PVHはいずれの項目とも有意な相関を認めなかったが、DWMH容積の増加が、MMSE、verbal fluency (category)スコアの変化量と有意な相関を認めた。DWMHの進展は、前頭葉機能や意味記憶の低下と相関を認めた。MCIにおける白質障害の進展は、ADの病理病態に何らかの影響を与えることが示唆された。上記の結果は、Journal of Alzheimer's Disease (2021)にpublishされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大脳白質アトラスを用い、大脳白質障害を領域ごとに区分し、その容積と認知機能や生活習慣病との関連の結果を今後、論文化する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
軽度認知障害における局所大脳白質病変容積と認知機能障害、生活習慣病との関連
大脳白質病変は軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー型認知症(AD)への移行に影響を与えることが報告されるが、MCIの局所白質病変と認知機能障害、生活習慣病との関連についてはあまり報告がない。今回MCI due to AD (NIA-AAの臨床診断基準)における局所大脳白質病変容積と認知機能、血液データ(シスタチンC、総ホモシステイン、不活性型ビタミンD等)、生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症)の有無との関連を検討した。MCI (n=38)を対象として、大脳白質病変(PVH/DWMH)容積を画像解析ソフト3D-slicerを用い算出後、大脳白質アトラスを用い、各領域ごとの白質病変容積を算出し、それと各種神経心理検査スコア、血液データ、生活習慣病の有無との相関をSPSSを用い解析した。Pearsonでは、DWMHすべての領域において局所白質障害容積が各種項目と有意な相関を認めなかったが、局所PVH容積(両側前角、両側体部、両側後角)がTrail Making Test-A/B(p=0.01-0.03/0.03-0.05)、血清シスタチンC値(p=0.01-0.05)と有意な正相関を認めた。重回帰分析では各領域ごとのPVH/DWMH容積を従属変数、年齢、シスタチンC値、生活習慣病の有無を独立変数とした際、DWMH容積はいずれの領域も有意な相関を認めず、局所PVH容積(右体部、右下角、両側後角)が糖尿病の有無と有意な相関(p=0.005-0.03)を認め、局所PVH容積(左前角)が血清シスタチンC値と有意な相関(p=0.05)を認めた。MCIにおけるPVH容積は注意・遂行機能障害との関連を認め、血清シスタチンC値と糖尿病の有無と有意な相関を示した。シスタチンCと糖尿病の有無が、MCIにおける大脳白質障害により引き起こされる認知機能障害に対する治療戦略的指標として有効である可能性が示唆された。
上記の研究結果を雑誌に投稿中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で国際学会の参加が困難であったこと。
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