研究課題/領域番号 |
17K09329
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
矢嶌 裕義 東京有明医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00563412)
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研究分担者 |
高梨 知揚 東京有明医療大学, 保健医療学部, 助教 (10563413)
高山 美歩 東京有明医療大学, 保健医療学部, 講師 (20563414)
高倉 伸有 東京有明医療大学, 保健医療学部, 教授 (60563400)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ダブルブラインド鍼 / 非特異的腰痛 / 筋電図 |
研究実績の概要 |
当該研究は、術者及び患者をマスクした状態(ダブルブラインド下)で、非特異的腰痛に対する鍼治療の効果を観察することを最大の目的としている。この研究で用いる最も重要なダブルブラインド鍼については、現時点においては製品化を進めている最中である。 この鍼は、通常の鍼(刺さる鍼)と皮膚に圧迫を与える鍼(刺さらない鍼)、これらの鍼を支える内鍼管、この鍼管内には術者に生じる刺入感覚を相殺する為のシリコン、これら全てを支える台座、及び鍼を叩き入れる際に用いる外鍼管で構成されている。これまでにこれらの各パーツにおいて、内鍼管及びこれに対応した長さの刺入鍼と圧迫鍼、並びに台座に関しては製品化が可能となった。しかしながら刺入感覚を相殺する為のシリコンと外鍼管については現在も試作を繰り返しており、この二つのパーツのみが製品化に至ってはいない。 また昨年度は上述以外に予備実験の実施、研究デザインの仕上げ、質問用紙や同意書の作成、倫理審査委員会申請書作成が予定されていたが、これらはいずれも終了している。非特異的腰痛という患者の病態を十分に把握しきれていないものに対し、痛み感覚のような主観的な患者による評価を行う際には術者からの影響を受けやすく、バイアスが生じやすいことが知られており、特に鍼のようなデバイスを用いて治療をおこなった場合、術者バイアスがより増強されることがわかっている [Kaptchuk TJ et al. BMJ 2006]。その為、客観的指標を用いて臨床試験が必要であることから、特に予備実験では、筋電図を用いての客観的指標となりうるのかを確認し、十分に活用できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者及び術者をマスクすることが可能なダブルブラインド用鍼セット[日本特許第4061397号]は、未だ商品化はされていない。本研究においては、1,100本(各鍼360本:予備20本含む)のダブルブラインド用鍼を用いて臨床研究を実施する予定である。そのため従来の製作方法ではこの鍼を作成した場合、1年以上の時間を費やしてしまうことが予想されたため、29年度はまず、ダブルブラインド用鍼を商品として大量生産できるようにするための開発を進めていく予定であった。その結果、通常の鍼(刺さる鍼)と皮膚に圧迫を与える鍼(刺さらない鍼)、これらの鍼を支える内鍼管、台座などのパーツは完成することができた。しかしながらこの鍼管内にある術者に生じる刺入感覚を相殺する為のシリコンと鍼を叩き入れる際に用いる外鍼管については開発段階である。特にシリコンについては、術者マスキングの要であることから、慎重に開発を進めている。そのために若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
内鍼管に設置するシリコンは、あと1、2回の試作で完成可能な段階まできているので、このまま開発を継続する予定である。外鍼管については、開発費の予算が不足した場合に備えて、既に従来からの手法ですでに作成を開始している。今年度後半には鍼の開発を終了させ、臨床研究に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究においては、1,100本(各鍼360本:予備20本含む)のダブルブラインド用鍼を用いて臨床研究を実施する予定である。29年度はまず、ダブルブラインド用鍼が大量生産できるようにするための開発を進めていった。その結果、通常の鍼(刺さる鍼)と皮膚に圧迫を与える鍼(刺さらない鍼)、これらの鍼を支える内鍼管、台座などのパーツは完成した。しかしながらこの鍼管内にある術者に生じる刺入感覚を相殺する為のシリコンと鍼を叩き入れる際に用いる外鍼管については開発途中である。特にシリコンについては、術者マスキングの要であることから、慎重に開発を進めている。以上の事から、外鍼管やシリコン等に掛かる開発費や人件費等が使用されず、次年度使用額が生じた。
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