研究課題/領域番号 |
17K09331
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
岡田 尚志郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40203989)
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研究分担者 |
山口 奈緒子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50380324)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ストレス / ノルアドレナリン / CRF / 交感神経系 / 室傍核 |
研究実績の概要 |
脳内ノルアドレナリン含有神経系はストレス時に脳内アラーム系として活性化し、一過性のストレス反応を引き起こすと考えられている。このストレス反応が持続するとストレス関連疾患を発症すると推測されるが、その機序は解明されていない。そこで、本研究は、ラット急性拘束ストレスモデルを用いて、ストレス反応中枢の一つである視床下部室傍核(PVN)に投射する脳内ノルアドレナリン含有神経系およびCRFに着目し、両者の関連およびその下流で産生されるプロスタノイドが、ストレス反応を持続させる可能性を検証することを目的とする。 昨年度は拘束ストレス負荷したラットのPVNにおいてPGE2およびTxA2量が増加することを明らかにした。そこで本年度は、拘束ストレス負荷したラットPVNにおけるPGE2およびTxA2量に及ぼすα/βアドレナリン受容体遮断薬、CRF-1受容体遮断薬、COX阻害薬、およびTxA2合成酵素阻害薬の影響を薬理学的に解析した。その結果、これらの薬物で脳室内前処置した急性拘束ストレス負荷ラットの視床下部室傍核におけるPGE2およびTxA2量の増加は抑制され、さらに血中カテコールアミン増加も抑制されることを明らかにした。これらの実験成績から、拘束ストレス負荷したラットのPVNにおけるPGE2およびTxA2量が、当該動物の血中カテコールアミン増加に関与することが示唆された。また透析液中のCRF含量については、微小透析液中へのCRFの回収条件検討が終わったので、ELISAによる解析を始めるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は、当初の計画通りにすべての動物実験群を作成し、各種受容体遮断薬および酵素阻害薬の拘束ストレス負荷ラットにおける血中カテコールアミン量およびPVNの微小透析液中PGE2およびTxA2量に及ぼす影響を解析した。透析液中のCRF含量については、微小透析液中へのCRFの回収条件の検討に時間がかかったため、遅れが生じたが、次年度に早急に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、当初の計画に従って、ストレス関連メディエーターとして微量生体物質の合成酵素(COX1,COX2,トロンボキサン合成酵素)およびその発現に関与すると予想される転写因子(NFκB, PPARγ)のタンパク質発現レベルおよびmRNAレベルをウェスタンブロッティングおよび定量PCRによって調べる。。さらに、これらの発現動態に及ぼす各種受容体遮断薬もしくは酵素阻害薬の影響を調べる。実験群(拘束ストレス負荷+薬物処置)および対照群(拘束ストレス負荷+薬物無処置、拘束ストレス負荷なし+薬物無処置)を作成する。実験には、1)実験群 拘束ストレス負荷+薬物処置 および2)対照群(拘束ストレス負荷+薬物無処置、拘束ストレス負荷なし+薬物無処置)の視床下部室傍核を含む500 µmのスライスから両側の室傍核をパンチアウトした試料を用い7)、ウェスタンブロッティングにはタンパク質抽出液(T-PER)を、定量PCRには核抽出液(Trizol)を調製する。
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次年度使用額が生じた理由 |
透析液中のCRF測定実験の条件検討に時間を要し、遅れを生じた。当該年度に用いる試薬や消耗品の購入予算が残り、次年度使用額が生じた。 当該年度に計画していた透析液中のCRFをELISAで測定する実験を次年度に行うため、当該実験に使用する試薬および消耗品の購入に使用する予定である。
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