研究課題
PVNにおける拘束ストレス負荷による血中カテコラミン増加に関与するシグナル伝達経路を明らかにするために、拘束ストレスを負荷したラットPVNにおけるPGE2およびTxB2産生をマイクロダイアリシス法によって調べた。実験群(2時間の拘束ストレス負荷)は、対照群(自由行動)に比べて、PGE2およびTxB2産生量が有意に増加した。さらに、拘束ストレス負荷による血中カテコラミン増加は、α/βアドレナリン受容体遮断薬(フェントラミン/プロプラノロール)、CRF-1受容体遮断薬(CP-154,526)、COX阻害薬(インドメタシン)の脳室内前投与によって、対照群(生理食塩水)に比べて、全て有意に抑制された。また、6時間拘束ストレス負荷したラットの視床下部室傍核を含む500 μm のスライスから両側の室傍核をパンチアウトした試料を用いてCOX1、COX2、PGE2合成酵素、トロンボキサン合成酵素およびこれらの発現に関与すると予想される転写因子NFκBのmRNAレベルをqPCRで調べたところ、COX1およびトロンボキサン合成酵素のmRNAレベルは減少し、一方COX2およびPGE2合成酵素のmRNAレベルは増加した。またNFκBのmRNAレベルに変化を認めなかった。以上の実験成績から、拘束ストレス負荷によって、脳内ノルアドレナリン含有神経系が活性化し、投射先の一つである室傍核におけるαもしくはβ受容体賦活を介して、血中カテコールアミンを増加することが示唆された。さらに血中カテコールアミン増加には、、室傍核におけるα/βアドレナリン受容体の下流に存在すると目されるプロスタノイド産生シグナル系の活性化によるPGE2およびTxB2産生の関与が示唆された。さらに、NFκBおよびその下流のCOX2発現が、持続性ストレス応答に関与する可能性が推察された。
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