本研究では細胞膜異常として赤血球膜fluidityの調節メカニズムと、高齢者高血圧を中心とした生活習慣病における動脈硬化病変との関連を検討した。本態性高血圧患者の赤血球膜fluidityは正常血圧群に比し有意に低下し、動脈硬化病変の指標であるbrachial-ankle pulse wave velocityや頸動脈硬化度と有意に相関した。そのメカニズムとして一部内皮機能不全や酸化ストレスの関与が示唆された。一方、高齢女性高血圧患者では腰椎骨塩含量が正常血圧群に比し有意に低下していた。以上から、細胞膜機能調節機構や骨代謝動態が高血圧や生活習慣関連疾患の病態生理に一部関与すると考えられた。
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