研究課題/領域番号 |
17K09340
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
河合 啓介 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 心療内科医長 (80325521)
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研究分担者 |
山下 真 九州大学, 大学病院, 助教 (40770805)
田村 奈穂 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 心療内科医師 (10798383)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経性やせ症 / 心肺運動負荷試験 / 最大酸素摂取量 / 運動能力 |
研究実績の概要 |
平成29年度の本研究の目的は、神経性やせ症(Anorexia nervosa:AN)に対して1)心肺運動負荷試験(Cardiopulmonary Exercise Training:CPX)を施行して、ANの運動能力を客観的に測定。さらに体組成、BMI(Body mass index)なども測定した。これらの結果より、エビデンスに基づくANへの有効で安全な運動リハビリテーション法を確立することである。CPXは連続呼気ガス分析装置を用いた 運動負荷テストで心臓リハビリテーションに臨床応用されている。 今年度は、前年度の予備的研究を含め、患者11名、健常コントロール11名のデータを収集した。CPXで測定された最大O2摂取量(AT)は、AN群 10.3±1.0 ml/kg/min, 健常群 15.3±3.0 ml/kg/minであり、AN群のATは健常群に比し有意に低下していた(P<.001)。AN患者のAT到達時のメッツ(身体活動強度) は 2.5-3.4であった。 AN群・健常群ともに、ATとBMIとの相関は認めなかった。 AN患者のATは予想通り健常者に比し低下していたが、ATとBMI・除脂肪量・基礎代謝に相関は認めなかった。また、症例によって運動能力は様々であるが、2.8~3.4メッツ(普通歩行~掃き掃除程度)の運動は可能であると推察された。今回の検討では、AN患者の運動耐容能は、今回測定した身体的因子のみでは予測できなかった。発症前にアスリートであった症例のATは12.2 ml/kg/min(年齢から推定される基準値の82%)と比較的高値であった。日常の身体活動度が高いとATが高いことが知られており、AN患者の運動耐容能に寄与する因子について、日常の身体活動度・運動習慣を含め検討が必要と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に参加する症例は順調に確保できている。研究の方法論は確立された。運動能力に関して、AN患者の特性を統計学的に検出するためにも、症例数の確保に努める。
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今後の研究の推進方策 |
AN患者の運動耐容能は、同年齢の健常者に比し低下していたが、予想に反して、BMIや除脂肪量のみでは規定されていなかった。今後、症例数を増加させるとともに、AN発症前のアスリート歴の詳細な調査等を行い、AN患者の運動耐容能に寄与する因子について検討する必要がある。 栄養療法による運動能力を評価する介入研究は、H29年―H30年度の観察研究結果を踏まえ、H31年度後半より具体的な研究計画を開始する予定である。
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