研究課題
参加施設のうち、北海道大学病院(当院)、恵佑会第2病院、北見赤十字病院、渓和会江別病院、市立函館病院から、新規症例を登録し、EP-HMRGによる 蛍光イ メージングを行った。前年度までに行った症例と合計し、21症例の登録となった。全症例に対し、免疫染色を行い、病理学的所見とイメージング所見との対比を 行った。結果、21病変中、放射線照射例を除く20病変にDPP-IVが発現しており、EP-HMRG散布後数分以内に腫瘍部に一致して経時的に増強する緑色の蛍光がみられた。腫瘍部位に放射線照射歴のある1例はDPPIVの発現はみられず、蛍光も観測されなかった。扁平上皮下に病変が進展する症例では、扁平上皮表層に癌腺管が開口する部位に おいて点状の蛍光が良好に確 認され、早期食道腺癌、および接合部腺癌で、表層に癌病巣が露出する領域で、蛍光イメージングが癌の検出に有用であることを示 唆する結果であった。病変部と背景の蛍光の差を示す、CRB(Cancer/Background ratio)を算出したところ、背景に完全型腸上皮化生を豊富に持つ症例において低い値を示し、視覚的には周 囲とのコントラストが得られづらく、蛍光イメージングによる検出の有用性が劣ることがわかった。原因は、完全型腸上皮化生腺管にもDPP-IVが発現する病理学 的特徴によるものであった。接合部腺癌におけるDPP-IVを用いた蛍光イメージングの感度、特異度、正診率はそれぞれ85.7%、85.7%、85.7%であった。 2019年度は、国内および海外の学会報告を行い、論文化して投稿した。2020年1月、BMC Cancerにpublishされた。(Detection of early adenocarcinoma of the esophagogastric junction by spraying an enzyme-activatable fluorescent probe targeting Dipeptidyl peptidase-IV.BMC Cancer. 2020 Jan 28;20(1):64.)
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BMC Cancer
巻: 28 ページ: 1-9
10.1186/s12885-020-6537-9.