研究課題
食道扁平上皮癌患者10名、健常コントロール10名から唾液を採取し、唾液より得られたDNA溶液をもとに、Illumina社の16S Metagenomic Sequencing Library Preparation プロトコールに則り、次世代シークエンサーにて細菌叢解析を行った。2群間の主な門レベルの細菌叢の比較では(食道扁平上皮癌 vs. 健常コントロール)、Bacteroidetes (35.2% vs. 28.4%)、 Firmicutes (30.1% vs. 27.5%)、Proteobacteria (10.3% vs. 18.4%)、Fusobacteria (5.3% vs. 4.3%)であり、コントロールに比較して、食道扁平上皮癌患者において、Bacterroidetesが多く、Proteobacteriaが少ない傾向を認めた。次に主な属レベルで比較では(食道扁平上皮癌 vs. 健常コントロール)、Prevotella (30.4% vs. 28.3%)、Streptococcus (20.3% vs. 17.3%)、Veillonella (7.3% vs. 11.2%)、Neisseria (6.3% vs. 10.5%)、Heamophilus (3.7% vs. 4.4%)であり、コントロールに比較して、食道扁平上皮癌患者において、Veillonella、Neisseriaが低い傾向であった。このうち、Neisseriaは、アセトアルデヒド産生能が高い代表的な細菌であることが知られている。飲酒後のアセトアルデヒド暴露が、食道扁平上皮癌の要因の一つ考えられていることから、今回の食道扁平上皮癌患者でNeisseriaの検出割合が少ない結果は、予想外であった。このことから、口腔内細菌叢と癌との関連を明らかにするには、多くの症例から唾液サンプルを採取し、細菌叢全体での更なる解析が必要と考えられた。一方、食道腺癌に関しては、稀な疾患であり、秋田大学附属病院のみでは症例の集積が難しかった。途中で、東北大学病院に協力を依頼し、同院の倫理委員会でも承認され、症例を集積中である。症例が10例集まった時点で、解析を行う予定である。
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