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2018 年度 実施状況報告書

胃幹細胞の癌化メカニズムの解明と幹細胞マーカーの予防・治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K09346
研究機関東京大学

研究代表者

平田 喜裕  東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10529192)

研究分担者 山田 篤生  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80534932)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード胃癌 / 幹細胞 / ヘリコバクター / オルガノイド
研究実績の概要

H29年度は胃粘膜Lgr5陽性細胞およびKRT19陽性細胞に誘導性にTGFbR2を欠失させたマウスを作成、ヘリコバクター感染後の胃粘膜の分化マーカー発現変化を検討した。感染に伴い体部胃底腺にGSII/TFF2、アルシアンブルーで染色される化生性変化と胃幹細胞マーカーCD44v6の発現増加が見られた。ジフテリアトキシン受容体発現マウスを用いて、ヘリコバクター胃炎発症後にLgr5陽性細胞の選択的排除を行った。4カ月後の胃粘膜でGSIIやアルシアンブルー陽性化生粘膜が同様にみられた。これらの結果からTGFbシグナルやLgr5陽性主細胞が化生変化に果たす役割は限定的であると考えられた。ただしKRT19陽性細胞特異的誘導性TGFbR2欠失マウスでは経過中にTGFbR2発現が回復しており、幹細胞をラベルできていない可能性が示唆された。TGFb R2欠失+活性型Kras遺伝子変異胃底腺オルガノイドは野生型に比べて増殖が亢進しており、EGF非依存性であった。
H30年度は、遺伝子変異オルガノイドの癌化についてヌードマウスへの接種にて検討したが長期の生着および生体での増殖はみられなかった。これらの結果から胃底腺幹細胞の癌化にはTGFbR2とKras遺伝子異常だけでは不十分であり、さらなる遺伝子異常が重要である可能性が示唆された。
恒常的に腺窩上皮に遺伝子異常を導入する目的で、TFF1プロモーター下にcreリコンビナーゼを発現させるマウス系統を樹立し、活性型Kras遺伝子変異マウスと交配した。生後4週より腺窩上皮の過形成による粘膜肥厚アルシアンブルー陽性の化生性腺管が出現し、ヘリコバクター感染と同様の胃炎が起こっていると考えられた。またこの化生粘膜では幹細胞マーカーであるCD44v6やSox9の発現増加がみられた。このマウス胃底腺から作成したオルガノイドも野生型に比べ細胞増殖が亢進していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヘリコバクター胃炎における胃底腺KRT19陽性腺窩上皮細胞とLgr5陽性主細胞のTGFbシグナルの役割について解析した。ヘリコバクター感染後の幹細胞マーカーの変化を解析済みであり、一部Lgr5陽性主細胞の役割についても解析した。またオルガノイドの腫瘍化遺伝子についての検討も開始している。

今後の研究の推進方策

Mist1陽性細胞の役割を検討するためにMist1陽性細胞特異的遺伝子変異モデルを作成する。さらに発現亢進がみられた幹細胞マーカーSox9の胃粘膜における役割を解明するためにSox9ノックアウトの表現型を検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Three types of metaplasia model through Kras activation, Pten deletion, or Cdh1 deletion in the gastric epithelium.2019

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita H, Hayakawa Y, Konishi M, Hata M, Tsuboi M, Hayata Y, Hikiba Y, Ihara S, Nakagawa H, Ikenoue T, Ushiku T, Fukayama M, Hirata Y, Koike K.
    • 雑誌名

      J Pathol.

      巻: 247 ページ: 35

    • DOI

      10.1002/path.5163.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characteristics and predictors of gastric cancer after Helicobacter pylori eradication.2018

    • 著者名/発表者名
      Shichijo S, Hirata Y.
    • 雑誌名

      World J Gastroenterol.

      巻: 24 ページ: 2163-2172

    • DOI

      10.3748/wjg.v24.i20.2163.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Mature gastric chief cells are not required for the development of metaplasia.2018

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita H, Hayakawa Y, Niu Z, Konishi M, Hata M, Tsuboi M, Hayata Y, Hikiba Y, Ihara S, Nakagawa H, Hirata Y, Wang TC, Koike K.
    • 雑誌名

      Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol

      巻: 314 ページ: G583-G596

    • DOI

      10.1152/ajpgi.00351.2017.

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] MODELING SIGNET RING CELL CANCER BY USING MOUSE MODELS AND ORGANOIDS2018

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Hata, Yoku Hayakawa, Hiroto Kinoshita, Hayato Nakagawa, Yoshihiro Hirata, Timothy C. Wang, Kazuhiko Koike
    • 学会等名
      米国消化器病学会
    • 国際学会
  • [学会発表] 除菌前・後の組織学的腸上皮化生と内視鏡的萎縮による除菌後胃癌のリスクの相違2018

    • 著者名/発表者名
      新倉量太 平田喜裕 小池和彦
    • 学会等名
      第104回日本消化器病学会総会

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公開日: 2019-12-27  

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