研究課題
本研究の目的は、食道アカラシアの3つのサブタイプ (Type I、Type II、Type III)の食道粘膜及び筋層に発現するサイトカインプロフィールの観点から各サブタイプ間の関連性及びその病態を解明することであった。2017年2月から2020年3月まで、食道アカラシア 78例 (Type I 22例、Type II 46例、Type III 10例)を登録した。また、対照群(食道癌にて食道切除術を受けた患者) 20例を登録した。食道体部粘膜において、アカラシア群は対照群と比較して、Th1関連サイトカインであるTNF-α(p<0.0001)、IL-1β (p=0.0135) 及びIL-12B (p=0.0126)の有意な発現増加を認めた。さらにTh17関連サイトカインであるIL-17A (p=0.0228)、IL-23A (p=0.05)及びIL-6 (p<0.0001)の有意な発現増加を認めたが、Th2関連サイトカインの有意な発現増加は認めなかった。サブタイプ別では、Type IとType IIはTh1とTh17の両方が上昇していたが、Type IIIはTh1の発現増加は認めずTh17のみ増加を認めた。一方、食道体部筋層において、アカラシア群は対照群と比較して、M3受容体の発現傾向(p=0.054)、そしてcholine acetyltransferaseの発現低下を認めたが (p=0.002)、各サブタイプ別においても同様の結果が得られた。また下部食道括約筋において、アカラシア群は対照群と比較して、M2受容体の発現増加を認め、各サブタイプ別において、Type IIIはM2の発現上昇に加えM3の発現増加を認めた。サイトカインプロフィールを用いた判別分析を行ったところ、対照群と食道アカラシア各サブタイプ間のサイトカインプロフィールは有意に異なることが明らかとなった。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Eur J Pharmacol
巻: 857 ページ: 172405
10.1016/j.ejphar.2019.172405
Digestion
巻: In press ページ: In press
10.1159/000503340.