研究実績の概要 |
Warburg効果を応用し,光感受性薬剤(クロリン)に様々な糖を連結した糖連結光感受性薬剤を開発してきた.その中でも,現保険承認薬剤のTalaporfinに比べ5 000倍から34, 000倍のPDTので抗腫瘍効果をin vitroで確認できたN003HP-Gクロリンe6,N003HP-Mクロリンe6のPDT効果につき検討した.N003HP-Gクロリンe6の薬理効果の検討ではactive caspase3の上昇などが確認され,アポトーシスを主に細胞死誘導が惹起されていることを確認した.共焦点顕微鏡による細胞内局在の検討ではミトコンドリア,ゴルジ体に局在することを確認した.siRNAでのGLUT1, GLUT3, SGLT2などのノックダウンの検討では,各々がN003HP-Gクロリンe6の癌細胞内への取り込みを抑制したが,特にSGLT2が重要であった.エンドサイトーシス拮抗薬を用いた検討では,ATP-dependent endocytosis, macropinocytosisが癌細胞への薬剤取り込みに重要な役割を果たしていた.MKN45を用いたマウス腹膜播種モデルでのPhotodynamic diagnosis (PDD)の検討では,N003HP-Gクロリンe6尾静脈静注後,約4-6時間後に,405nm-420nmの青色LED光線照射により癌細胞よりの蛍光発光が確認された.癌間質のTumor Associated Macrophage (TAM)の細胞膜上のマンノース受容体をターゲットにしたN003HP-Mクロリンe6によるPDTは,FACSなどの検討で,移植腫瘍間質のTAMの減少を確認した.またN003HP-Gクロリンe6の体内代謝時間を遅延させる目的で新たに合成したアセチル化N003HP-Gクロリンe6は,in vivo実験で腫瘍集積までの時間を遅延させた.
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