研究課題
機能性ディスペプシア(Functional dyspepsia: FD)は器質的異常を伴わない不快な上腹部症状を示す疾患である。患者Quality of lifeを著しく損なうため、その病態解明、新規治療戦略開拓は重要な課題である。FDは、疾患概念が明確になり、その診断・治療に注目が集まっている。近年、FD病態の責任臓器として十二指腸が重要であることが指摘されている。実際に、①FD患者の十二指腸粘膜では好酸球、脂肪細胞、マクロファージが増加し、十二指腸粘膜免疫異常がFD発症に関与していること、②FD患者では十二指腸粘膜透過性が亢進し、tight junction (TJ)構成蛋白質の発現が変化していることが明らかになりつつあるが、FDにおける十二指腸粘膜免疫異常、粘膜バリア維持機構破綻機序は解明されておらず、我々が、近年、基礎・臨床研究の軸としている粘膜関連細菌叢(Mucosa-associated microbiota: MAM )との関連については明らかになっていない。我々は本研究課題において、①FD患者口腔内、十二指腸粘膜ではStreptococcus属占有率が高いこと、②両群Streptococcus属占有率とFD症状には相関があることを明らかにした。十二指腸のMAMとして検出されるStreptococcus属は各個人の占有率から考慮すると、口腔内細菌叢由来である可能性が高く、FD患者の口腔内細菌叢解析が、FD発症機序解明における今後の重要な課題であると考えられる。
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Digestion
巻: 101 ページ: 38-45
10.1159/000504090.