研究課題/領域番号 |
17K09359
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
大谷 恒史 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30597555)
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研究分担者 |
灘谷 祐二 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00634007)
谷川 徹也 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70423879)
渡邉 俊雄 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50336773)
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40285292)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胃癌 / 自然リンパ球 / IL-17 |
研究実績の概要 |
これまで平成29年度には胃癌組織において自然リンパ球 (innate lymphoid cell: ILC) 3の細胞群がどの程度発現しているかについて、ヒト胃癌患者の単核球を単離してILC3細胞集団の発現の解析を行い、平成30年度は4週齢のC57BL/6JマウスにN-methyl-Nnitrosourea 200 ppm 1週間経口投与を隔週で計5回繰り返し、その後H. pylori (SS-1株) を3回経口感染させて胃癌モデルの作成に成功した。 令和1年度はIL-17とIL-22のノックアウトマウスを使用してマウスの胃癌モデルを作成し、野生型マウスを対照群として比較検討した。細胞増殖能についてはKi67の免疫組織化学染色によって、アポトーシスについてはTUNEL法によって評価を行った。IL-17とIL-22のノックアウトマウスではアポトーシスの誘導がみられるとともに細胞増殖能が低下し、胃癌の発症は抑制された。次にT細胞が欠損しILCのみが機能する獲得免疫不全マウスであるRag1ノックアウトマウスを使用し、胃の炎症発癌過程に抗IL-17中和抗体または抗IL-22中和抗体を腹腔内投与し、ILC1発現のフローサイトメトリーによる解析、IFN-γ発現レベルの変化、マウス血液中のNK細胞およびCTL細胞活性の変化の測定を行い、胃癌の発症が抑制されるかについて検討した。その結果、抗IL-17中和抗体または抗IL-22中和抗体の投与によってILC1、IFN-γの発現レベルは上昇し、NK細胞およびCTL細胞の活性が亢進し、胃癌の発症を抑制した。これらの結果により、ILC3産生サイトカインであるIL-17、IL-22は抗腫瘍活性をもつILC1およびILC1産生サイトカインであるIFN-γの抑制を介して胃の炎症誘導性発癌を促進することが示唆された。
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