研究課題
内視鏡による生検採取および血清について、全国の協力施設からの検体を用いて検討した。ピロリ菌陰性の慢性胃炎、鳥肌胃炎、マルトリンパ腫胃疾患および早期胃癌症例におけるNHPHの感染率を胃粘膜生検組織を用いたRT-PCR法、新たに開発した抗体とRT-PCR法によりNHPHあるいはHp陽性と判定された症例の血清を用いたELISA法により検討し、両者の相関関係について検討した。さらに、病理組織化学および免疫学的な検討を施行した 。その結果、Hp陰性の鳥肌胃炎、慢性胃炎においては、全国的に約40%の症例でNHPHが陽性であり、特に東北、北海道地方で高い傾向があったが、検討したどの地域でも陽性例が認められた。MALTリンパ腫においてもほぼ同率の陽性例を認めたが、転座例では検討した範囲では陰性であった。ELISA法との関連性については、少数例の検討ではあるがRT-PCR法の結果と有意の関連例を認めた。免疫組織化学による検討では、菌体は粘液層内だけでなく、胃底腺体部の壁細胞近傍に認められ、一部の細胞はapoptosisに陥っており、これは感染マウスによる検討と同様の結果であった。in vivoの検討として、ベルギーGhent大学B. Flahouらとの共同研究により、培養が可能であることを確認した。そこで、培養液のpHの変化に対するNHPHの生存曲線を検討した。その結果、運動性、生存率ともにpH4.5で最も高いことが明らかとなった。また、vonoprazan投与マウスによる検討では、さらにapoptosisを示した壁細胞の割合がproton pump inhibitor, H2 blocker投与時よりも有意に増加していた。
2: おおむね順調に進展している
全国調査に関しては、全国の諸施設のご協力により順調に症例が増えており、100症例を超えている。また、血清による検討についてもRT-PCR法との相関関係が明らかになりつつあり、血清による調査が今後可能になると考えられる。培養による検討は、まだ動物由来の菌のみであるのが問題であるが、今後ヒト由来の菌についても検討する予定である。
内視鏡による生検組織を用いた検討については、今後さらにハイルマニイ菌の有無 について検討し、その結果を統計学的に解析するレベルまで増やす予定である。さらに、地域、年齢、性、職種、伴侶動物の有無について検討する。さらに、アジア諸国における結果と比較検討する予定である。さらにハイルマニイ菌感染マウスによる検討 従来の検討から示唆されている肝臓、肺、唾液腺、涙腺組織の未固定Cryostat 切片を用い、NHPHの有無についてHelicobacterに対する抗体, CD70抗体などを比較検討し、その病因との関連性を検討する。
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Curr Pharm Des
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The ISME Journal
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