研究課題/領域番号 |
17K09362
|
研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
田中 弘一郎 藍野大学, 医療保健学部, 研究員 (00171752)
|
研究分担者 |
吉岡 芳親 大阪大学, 先導的学際研究機構, 教授 (00174897)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ストレス / 脳腸相関 / 機能性胃腸症 / 超高磁場機能的MRI / イメージングバイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究では、ラット迷走神経系を介した脳腸の相互作用(脳腸相関)を超高磁場機能的MRI(fMRI)を用いてリアルタイムかつ非侵襲的に可視化する方法を開発し、ストレスによる機能性胃腸症(functional dyspepsia : FD)の発症メカニズムを解明するための基盤を構築する。 現在、FDの発症に重要な部位と考えられる視床下部や延髄の神経活動を観察するため、高感度かつ高解像度の超高磁場fMRIの開発に注力している。2018年度は、 ① 2017年度から継続して、鉄を含むナノ磁性粒子を用いて、血流量の変動に注目した超高磁場(11.7T) fMRI(CE-fBVI:contrast enhanced functional blood volume imaging)の測定条件について検討し、従来のBOLD-fMRI(BOLD:blood oxygenation level-dependent)に比較してさらに高い時空間分解能を示す条件等を得た。 ② ナノ磁性粒子を用いたCE-fBVIでグレリン受容体アゴニスト投与後の視床下部と延髄における賦活部位について検討した結果、視床下部からは昨年度同様賦活化が長時間(~3h)にわたって観察されたが、延髄からは明確な結果が得られなかった。 ③ 直接的に神経活動部位を可視化できる可能性があるMn2+を用いたfMRIについては、継続して脳の賦活部位や脳内情報伝達経路の可視化への可能性を確認中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
① 高い時空間分解能を有する超高磁場fMRIを用いた脳機能評価法の確立 ナノ磁性粒子を用いた超高磁場fMRI(CE-fBVI)による視床下部の賦活部位の可視化については測定条件の検討がほぼ終了。しかし、延髄の賦活化部位の可視化条件については現在検討中。また、直接的に神経活動部位を可視化できると思われるMn2+を用いた超高磁場fMRIの測定条件等についても検討中。いずれの場合も、詳細検討に時間を要している。 ② ストレスによる脳賦活部位の詳細な可視化 ナノ磁性粒子を用いた超高磁場CE-fBVIにより、ラット拘束ストレス負荷時の視床下部を中心とした脳賦活部位の可視化を検討中。上記の超高磁場fMRIを用いた脳機能評価法の確立が遅れているため、ストレス負荷時の検討が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
① ナノ磁性粒子を用いた超高磁場CE-fBVIおよびMn2+を用いた超高磁場fMRIの条件検討に注力し、脳機能評価法の確立を急ぐ。 ② 特にナノ磁性粒子を用いた超高磁場CE-fBVIの視床下部及び延髄の賦活化の可視化を優先して、脳機能評価法を確立する。 ③ ラット拘束ストレス負荷時の脳賦活化部位の可視化をナノ磁性粒子による超高磁場CE-fBVIを用いて優先的に実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の研究計画の中で方法論の確立に時間を要し、計画に遅れが生じているため。 翌年度、方法論の確立に注力し、集中的に助成金を使用することを計画している。
|