研究課題
本研究の目標は、大規模臨床データと糞便中の微生物ゲノムデータを統合し、PPIと関連する微生物叢変化(腸内細菌叢、真菌叢、ウイルス叢)を明らかにすることである。研究計画の倫理委員会の承認を得て、検体収集からゲノム解析の一連の流れの研究体制を構築した。一方、多数例の症例から糞便中の微生物叢解析を行う前に、腸内細菌叢の安定性を保証する糞便採取法や保存方法を確立する必要性が生じた。そのため、当初の研究計画には入れていなかったプロトコール構築のための予備研究を行った。予備研究では、以下の知見を得た。①大腸内視鏡の前処置で使用する経口洗浄剤(下剤)直後の便は、通常便と比較し腸内細菌叢および代謝産物(metabolites)が有意に異なるため、便試料は腸管洗浄液前に採取することが望ましい(2019年3月論文掲載)。②保存液がない容器で便を採取する場合、冷蔵では1日、室温では排便当日に解析場所まで持参する必要性が判明した。一方、Cary-Blair(CB)培地容器は、保存過程による特定の細菌変化を抑制するため空容器と比較し長い保存が可能であり、低コストな点も踏まえると多くの施設で利用でき、大規模腸内細菌研究に使用できると考えられた。また、CB培地は責任細菌種の分離培養ができる可能性を有しており、無菌マウスへの投与実験に発展できると考えられた(論文投稿中)。今後は、糞便、唾液の収集を継続し、大規模データベース構築から「PPIと関連する微生物叢の変化」を明らかにしていく。さらに、腸内細菌叢だけでなく、真菌叢やウイルス叢の変化も調べて行く予定である。
3: やや遅れている
研究費取得後、倫理委員会の承認を得て、糞便採取の妥当性にカンするプレリミナリーな予備研究を行ったため、予定していた計画の一部しか実行できていない。そのため”やや遅れている”と判断した。サンプル収集を開始した。1年半かけて患者の同意、説明からサンプル収集を行っており、すでに約280例の糞便サンプルを冷凍保存している。一方、糞便サンプルのゲノムシークエンス機器(ショットガンシークエンス)は少数例ずつ行うと極めて費用が高いため、300例ほど集めてから一気(まとめて)に解析に回す必要がある。間接費を抜かすと直接使用できる基盤研究の費用は300万ほどであり、可能な限り安価で解析を行うため、サンプルの目標症例を待っている状況である。2019年5月以降に解析にかけれる状況にあると考えており、本年度はサンプルの解析費用として研究費を使用する予定である。進捗としては、研究の臨床情報収集、サンプル収集は順調に行われており、シークエンス結果が返却されれば研究目標は到達できると考えている。
研究の基盤構築、糞便採取・保存方法のプロトコールを確立した。サンプル収集をかいしており、研究の加速が期待できる。大規模な腸内細菌メタゲノム解析からPPIと関連する細菌叢の変化を明らかにし、さらに、腸内細菌だけでなく、真菌叢やウイルス叢の変化も調べる。また、唾液採取も同時に行っているため、PPIと関連する口腔内細菌層の変化への研究にも発展させていく。
サンプル収集を開始しているが、1年半かけて患者の同意、説明からサンプル収集を行っており、すでに約280例の糞便サンプルを冷凍保存している。一方、糞便サンプルのゲノムシークエンス機器(ショットガンシークエンス)は少数例ずつ行うと極めて費用が高いため、300例ほど集めてから一気(まとめて)に解析に回す必要がある。間接費を抜かすと直接使用できる基盤研究の費用は300万ほどであり、可能な限り安価で解析を行うため、サンプルの目標症例を待っている状況である。2019年5月以降に解析にかけれる状況にあると考えており、本年度はサンプルの解析費用として研究費を使用する予定である。進捗としては、研究の臨床情報収集、サンプル収集は順調に行われており、シークエンス結果が返却されれば研究目標は到達できると考えている。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Scientific reports
巻: 11 ページ: 4042
10.1038/s41598-019-40182-9.