研究課題/領域番号 |
17K09366
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
平賀 寛人 弘前大学, 医学研究科, 助教 (80637546)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビタミンA / マクロファージ / インフラマソーム |
研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究の成果は下記の通りである。 (1)CD患者における血清中ビタミンA濃度・血清中及び腸管局所のIL-1beta発現の測定。 当科外来・入院で加療中のCD患者(活動期:30人、寛解期:30人、計:60人、うちエレンタール投与中30人(1日3パック以上15人、未満15人))、治療介入前の新規発症CD患者から採血を施行し、血清中ビタミンA濃度をBML社に外注・委託して測定した。血清中ビタミンAはCRPと有意な相関関係を認め、活動性指標として有用と考えられた。 (2)VAD・DSS誘発腸炎マウスの粘膜下組織におけるオートファジー関連分子(LC3-II・p62等)の動態をWestern blot法でタンパク発現量を解析し、オートファジー活性化の程度を評価した。VADマウスの粘膜下組織ではLC3-IIの発現が亢進、p62は変化を認めなかった。 (3)VADマウスCD11b+脾細胞を用いて、LPS刺激時のNLRP3インフラマソームの動態を解析した。VADマウスからCD11b+脾細胞を分離、LPS刺激下で培養、上清(24時間後)中のサイトカイン(IL-1 beta、IL-18)を測定したところ、VAD群でいずれも産生亢進していた。 (4)RAR阻害剤で処理したマクロファージ細胞株を用いて、LPS刺激時のNLRP3インフラマソーム・オートファジー関連分子の動態を解析した。マクロファージ細胞株であるRAW264.7(マウス)・THP-1(ヒト)をRAR阻害剤(Ro41)で処理した後、対照群・LPS添加群(10 g/ml)に分けて培養した。RAR阻害剤処理群では上清中のIL-1 beta・IL-18産生量は亢進していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞のsiRNAの系が当初の予定よりは進展が遅れているが、その他計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の計画は下記の通りである。 (1)VAD GFP-LC3IIトランスジェニックマウスを用いてDSS誘発腸炎マウスを作製し、ビタミンA欠乏状態におけるオートファゴソーム発現量・形態の変化を解析する。 ①GFP-LC3IIトランスジェニック(Tg)マウスでVADマウスを作製、DSS腸炎誘発 GFP-LC3II融合遺伝子を導入、GFP励起により全身のオートファゴソームが緑色蛍光を発するマウス(GFP-LC3#53 (BRC No. RBRC00806 / RIKEN BRC)を用いて解析する。 ②蛍光顕微鏡を用いてVAD GFP-LC3II Tgマウスのオートファゴソームの発現量を解析する。 DSS腸炎誘発から0・1・2日後、ホルムアルデヒド環流法で組織を固定してからマウスをsacrifice、大腸の各部位(口側、中央、肛門側)をOCT compoundに包埋・液体窒素で凍結保存する。凍結標本をコールドトームで薄切・蛍光顕微鏡下でGFP励起されたオートファゴソームを観察する。
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