研究課題
FBXW7はヒトの癌における代表的な癌抑制遺伝子であり、3か所に集中したミスマッチ変異のホットスポットが知られている。これらのホットスポット変異は、遺伝子欠失などの単なる機能喪失よりも強力な癌化促進作用が示唆されているが、詳細な機能的意義は解明されていない。大腸がんにおけるFBXW7ホットスポット変異の役割を明らかにするため、我々が先行研究で樹立したFBXW7ホットスポット変異の条件的ノックインマウス(Fbxw7LSL-R468Cマウス)を既報の大腸発がんマウスモデルに導入し、マウスの腫瘍形成に対する影響の検討を行っている。大腸がんマウスモデルとしては染色体不安定性に基づく発癌を来すと考えられているCDX2P-Cre;Apcflox/+マウス及びマイクロサテライト不安定性に基づく発癌を来すと考えられているCdx2P-G19-Cre; Apcflox/floxマウスの2種類を採用し、これらのマウスとFbxw7LSL-R468Cマウスを現在交配中である。また、Fbxw7ホットスポット変異とFbxw7欠失のがん促進作用の差異を明らかにするために、上記2種類の大腸がんマウスモデルにFbxw7条件的ノックアウトマウス(Fbxw7flox)を交配することも同時に進めている。複雑な交配を必要とする上に一度の出産で実験に必要とされるジェノタイプのマウスが得られる確率も高くないため、時間を要しているが、現在CDX2P-Cre;Apcflox/+マウスとCDX2P-Cre;Apcflox/+; Fbxw7LSL-R468C/+マウスに生じる大腸腫瘍の病理組織学的所見と遺伝子発現プロファイルの比較を行うために検体を採取中である。今後Cdx2P-G19-Cre; Apcflox/floxマウスとCdx2P-G19-Cre; Apcflox/flox; Fbxw7LSL-R468C/+マウス についても同様の検討を行っていく。
2: おおむね順調に進展している
マウスの交配が複雑であるため必要とされるジェノタイプのマウスを得るのに時間を要するがおおむね順調といえる。
今後も交配を重ね、必要とされる匹数のマウスをできるだけ早く得て、病理学的検討及び遺伝子発現プロファイルの比較を進めていきたいと考えている。
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Journal of Pathology
巻: 247 ページ: 35-47
10.1002/path.5163.