研究実績の概要 |
大腸がんマウスモデルとしては染色体不安定性に基づく発癌を来すと考えられているCDX2P-Cre;Apcflox/+マウス及びマイクロサテライト不安定性に基づく発癌を来すと考えられているCdx2P-G19-Cre; Apcflox/floxマウスの2種類に、Fbxw7LSL-R468Cマウスを交配し、CDX2P-Cre;Apcflox/+;Fbxw7 LSL-R468C/+とCDX2P-G19-Cre;Apcflox/flox;Fbxw7LSL-R468C/+マウスを作製するとともに、上記2種類のマウスモデルにFbxw7ヘテロノックアウトを導入したCDX2P-Cre;Apcflox/+;Fbxw7flox/+, CDX2P-G19-Cre;Apcflox/flox;Fbxw7flox/+マウスも作製した。これらのマウスの生存期間、腫瘍形成数について検討したところ、Fbxw7R468C変異導入マウスはFbxw7ヘテロノックアウト及びFbxw7正常のマウスより有意に生存期間が短く、腫瘍形成数は多かった。しかし、生じた腫瘍にはFbxw7の遺伝子型による明らかな違いは認められず、Apc異常によるWntシグナル活性化の指標とされるbeta-cateninタンパク質の核内移行についてもFbxw7遺伝子型の違いによる差は見られなかった。また、Fbxw7タンパク質はユビキチンリガーゼとして種々の癌促進タンパク質の分解を担っているとされる。既知の分解基質の発現を免疫染色あるいはウエスタンブロッティングで調べたところ、Myc、CyclinE,、Notch1タンパク質の発現はFbxw7の遺伝子型による差を認めなかった。一方Tgif1及びklf5タンパク質の発現はFbxw7R468Cを導入したマウスの腫瘍部において、Fbxw7ヘテロノックアウト及び正常型のマウス腫瘍部よりも増加していた。
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