研究課題/領域番号 |
17K09370
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大塚 和朗 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (00338443)
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研究分担者 |
土屋 輝一郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (40376786)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | クローン病 / 小腸オルガノイド / 再燃予測 / 病態解明 |
研究実績の概要 |
炎症性腸疾患であるクローン病は小腸・大腸に難治性の潰瘍病変を有し、出血・狭窄・瘻孔などが生じるためQOLが著しく低下する。さらに本疾患は若年発症が多く、本邦では近年患者数が急増していることから社会経済への影響も懸念されている。クローン病治療の問題点として、一旦寛解しても再燃を来し狭窄・瘻孔を生じること、病変部位を切除しても残存小腸から再燃すること、小腸は大腸と異なり全摘出ができないため手術を繰り返した結果、短腸症候群を引き起こすことが挙げられる。炎症性腸疾患のもう一つの代表的な疾患である潰瘍性大腸炎は病変が大腸のみに限局するため最終手段として大腸を全摘出することで完治することが可能であるが、クローン病では小腸を全摘出することは致死的である。そのため、いかに再燃を減少させ健康な小腸を維持できるかがクローン病の予後・QOLの向上に重要なポイントとなる。そこで本研究では、臨床検査及び基礎研究で腸管評価を世界的に先導して開発してきた申請者らが前向き研究にてクローン病の再燃予測因子を探索し、新規再燃分子マーカーを同定することにより臨床検査と複合させた新しい再燃予測スコアを提唱することを目的とする。本研究にて得られる成果は、再燃特異的分子マーカーを基盤としてクローン病再燃メカニズムの解明を計るとともに、分子マーカーもしくは再燃メカニズムを標的とした新規治療薬を開発することでクローン病再燃予防まで発展させることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前の深部小腸マイクロアレイにおいて健常者の深部小腸と比較検討を行い、有意に発現が異なる遺伝子を2個選定した。その一つであるHD6はクローン病患者で有意に発現が低下しており、免疫染色にてHD6陰性腺管を認めることからバリアー能破綻が示唆された。また、クローン病患者から上皮細胞を単離しマトリゲルに包埋の後3次元にて培養を行った。現在、病変部由来の遺伝子発現解析を行っており、再燃因子との関連の有無を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
患者由来オルガノイドから病態を反映する機能評価システムを構築する。臨床検査と分子マーカーとの関連を検討し、再燃予測因子の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者由来オルガノイド培養試薬が予測よりも安価であったため。次年度以降は各種解析によるオルガノイド培養量の増加が見込まれており、培養試薬購入に使用する予定である。
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