研究課題
炎症性腸疾患であるクローン病は小腸・大腸に難治性の潰瘍病変を有し、出血・狭窄・瘻孔などが生じるためQOLが著しく低下する。さらに本疾患は若年発症が多く、本邦では近年患者数が急増していることから社会経済への影響も懸念されている。クローン病治療の問題点として、一旦寛解しても再燃を来し狭窄・瘻孔を生じること、病変部位を切除しても残存小腸から再燃すること、小腸は大腸と異なり全摘出ができないため手術を繰り返した結果、短腸症候群を引き起こすことが挙げられる。炎症性腸疾患のもう一つの代表的な疾患である潰瘍性大腸炎は病変が大腸のみに限局するため最終手段として大腸を全摘出することで完治することが可能であるが、クローン病では小腸を全摘出することは致死的である。そのため、いかに再燃を減少させ健康な小腸を維持できるかがクローン病の予後・QOLの向上に重要なポイントとなる。そこで本研究では、臨床検査及び基礎研究で腸管評価を世界的に先導して開発してきた申請者らが前向き研究にてクローン病の再燃予測因子を探索し、新規再燃分子マーカーを同定することにより臨床検査と複合させた新しい再燃予測スコアを提唱することを目的とする。本研究にて得られる成果は、再燃特異的分子マーカーを基盤としてクローン病再燃メカニズムの解明を計るとともに、分子マーカーもしくは再燃メカニズムを標的とした新規治療薬を開発することでクローン病再燃予防まで発展させることができる。今年度はクローン病患者の病変部と非病変部からオルガノイドを樹立し、マイクロアレイ解析にて病変部特異的発現遺伝子を同定した。
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Clinical Gastroenterology and Hepatology
巻: inpress ページ: inpress
10.1016/j.cgh.2019.08.024
Journal of Gastroenterology and Hepatology
巻: 34 ページ: 1751~1757
10.1111/jgh.14693