研究課題/領域番号 |
17K09372
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
藤井 俊光 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (30547451)
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研究分担者 |
永石 宇司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (60447464)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 免疫 / 腸管免疫 / 消化器病学 / 炎症性腸疾患 |
研究実績の概要 |
本研究は申請者らがこれまで見出してきた「食餌や腸内細菌由来の脂質抗原と腸管上皮細胞におけるCD1d発現に着目したこの機構の調節がIBDの治療に繋がる」という独自の概念や知見を基盤として、腸上皮細胞における脂質抗原提示の調節による脂質応答性リンパ球制御の可能性について追及している。その結果、本研究では当該研究期間に以下のような成果が得られた。1)ウイルスベクターGFP-RVおよびDsRed-RVによってマウス腸上皮細胞株におけるMTPの発現抑制を誘導した上で、阻害剤の存在下で培養、継代を継続できる条件を見出した。2)免疫沈降法などの生化学的解析結果から、MTPとCD1dの間には生化学的会合が見られることが明らかとなった。3)一方、これらの培養腸上皮細胞と脂質応答性リンパ球株との混合培養をおこなった結果、リンパ球の細胞増殖がMTPの発現に依存して促進されることが確認された。これらの研究成果は上記の条件下における腸上皮細胞株による抗原提示機能をin vitroで詳細に解析できる可能性が保証され、またその条件下における免疫学的解析が可能であることを示唆する。さらに現在、これらの細胞を用いた生化学的解析や機能的解析にむけて、その条件検討を進めている。さらに、より生理的な条件下での解析を実現するために、野生型マウスの大腸組織から上皮細胞を単離し長期培養した後に、上記と同様の実験系を樹立することを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸管粘膜の免疫調節機構は上皮細胞と脂質応答性リンパ球のクロストークが根幹にあり、上皮細胞の抗原提示能がその中枢を担っていることに着目しているが、今回我々は腸上皮細胞株を用いたin vitroにおける阻害剤存在下の実験系や遺伝子発現抑制系の樹立を通して、脂質応答性リンパ球の活性にMTPが影響し得る可能性を示唆する結果が得られたことは大きな成果であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は細胞間クロストークにおけるこの分子メカニズムに着目し、これをさらに詳細に解析するためにin vitroおよびex vivo実験系では共焦点顕微鏡下での細胞内小器官の観察、分子生物学的解析、そして混合培養系でのサイトカイン産生の解析、またin vivo実験系では遺伝子改変動物における疾患モデルの誘導とその臨床および病理学的解析、フローサイトメトリー、サイトカイン測定、また免疫組織染色などを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由: 試薬等が計画当初より廉価で購入可能であったため。 使用計画: 検討する数・種類を拡大して解析を行うため、試薬を増量して購入する予定である。
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