研究課題/領域番号 |
17K09374
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
稲垣 聡子 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (00768781)
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研究分担者 |
久保田 英嗣 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30405188)
澤田 武 金沢大学, 附属病院, 医員 (60345626)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 腫瘍関連マクロファージ / 遺伝子変異 / 個別化治療 |
研究実績の概要 |
腫瘍関連マクロファージ(TAM)を分離する目的の臨床検体に関しては、金沢大学の倫理審査委員会の承認を得て採取を開始、継続している(課題名:大腸癌における腫瘍関連マクロファージの発現解析と治療への応用)。しかし、対象の患者が少ないことより症例の登録、臨床検体の確保が進んでいないのが現状である。また、組織からTAMを分離する過程に困難が生じたため、解析を行う体制が構築されていないのも遅延の一因となっている。 そのため、金沢大学とその共同研究機関の倫理審査委員会で承認され運営されている、ヒト消化管がん組織検体資源化事業(プロジェクトK)で収集され、保存されている検体を用いた予備的な解析を開始した。近年、肝細胞癌や乳癌において、TAMとWntシグナル経路の関連と癌進展への関与が報告されているため、大腸癌における関連の有無を調べる目的で、大腸癌と前癌病変の組織検体を用いて、まずβカテニンの免疫組織化学を行った。 今後、TAMのマーカーとされているCD206抗体による免疫組織化学を行い、症例によってTAMの腫瘍への浸潤の程度や浸潤様式に違いがあるかどうかを調べる予定である。腫瘍自体の浸潤やリンパ節転移、遠隔転移の有無、再発の有無や化学療法への反応性、予後などの臨床情報を収集、そして、TAMの浸潤の程度と浸潤様式と比較することにより、TAMの浸潤様式と大腸癌の臨床病理学的特徴に関連がないかどうかを検討する。さらに、βカテニンなどのWntシグナル経路関連分子の染色性との関連を調べる予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
腫瘍関連マクロファージ(TAM)と上皮細胞を分離採取するための組織を採取する対象の患者が少ないことより、症例の登録と臨床検体の確保が進んでいないため。また、組織からTAMを分離する過程に困難が生じており、解析を行う体制が構築されていないため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例の集積を行い、組織から腫瘍関連マクロファージ(TAM)と上皮細胞を分離採取する体制の構築を行う。並行して、すでに組織バンクに保存されている検体を用いて、CD206抗体による免疫組織化学を行い、TAMの腫瘍への浸潤の程度や浸潤様式に違いがあるかどうかを調べる予定である。さらにβカテニンなどのWntシグナル関連分子との関連を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例の集積に時間を要するため。加えて、腫瘍関連マクロファージ(TAM)の分離採取が困難であり、マイクロアレイ解析を行い得なかったため。 引き続き、組織検体の分離、マクロファージの分離などに使用する予定である。それに加えて、CD206抗体や、βカテニンなどWntシグナル関連分子に対する抗体を用いた免疫組織化学にも使用する予定である。
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